たぶん、呪いなんです。
病気とかそういうのじゃなくて、ただ単に呪われてる。
腰が痛いとか、何か気配がするとかそういうのじゃないけど、否応にも連鎖する。僕はその行為を呪いと定義する
「この、筆者はとんだこと言う。」
そう思うなら、君たちの大正解だ。
人は時々、死にたいと思う事がある。
どんな人だってその定義には値する。
例えば、恥ずかしかったり、辛かったり。
そこまでは普通と言えば良い、その思いが強く続く場合を病気と言うのかもしれない。
「賽の河原の石積み」と言う伝承を聞いた事があるだろうか?
親より先に亡くなった子供が、親の供養と罪滅ぼしのために賽の河原で石を積む。しかし、その努力も徒労に終わってしまう。完成する直前に鬼が現れ、積み上げた石塔を崩してしまうのだ。終わらない地獄、その連鎖が呪いへと築き上げる。「死にたい」って思う事はある。しかし人は、希望や喜びによって何とか持ち堪える。では、「賽の河原の石積み」と照らし合わせてみるとどうだろうか?「死にたい」と言う感情が、石ころのように積み重ねられる。しかし一時的な幸福というものにより、自分たちの身の丈いわば限界を手前に、それは音を立てて崩れていく。そこで終わるのが普通なのだろう。しかし、そう上手くいかないもので、また夢幻という物から覚めれば、瞬く間に積み上げられていく。
決して楽になるわけでもない、だからと言って終わるわけでもない。それが僕には呪いに見えた。一生を背負って生きる呪いの連鎖に
ある老人は言う
「これも人生の一興だと」
もしこれが本当で、呪いごと愛せるのなら
その日まで楽しみに生きてみようかと、ふと思うのである
逆光ってね、人物や花を美しく、雰囲気のあるドラマチックな写真・映像にする効果があるんだって
彼女はカーテンを軽く開く
「ねぇ、私、、、綺麗?」
彼女は悪戯っぽく微笑むと、純白のドレスを揺らす
その指には、プラチナの指輪が輝いていた
「綺麗だ、、、、」
僕は、それ以外何もいう事が出来なかった。
ただ茫然と彼女を見つめる。今ここにいる彼女が女優のように見えた
「苦しくないか?」
僕はそっと彼女の頬に触れる
「この日をずっと楽しみに頑張ったんだから、褒めるのが普通でしょう?」
彼女はムッとすると、柔らかく微笑む。
「不思議ね、夢みたい。どうせ、すぐに消えちゃうだろうけど」
ー儚いからこそ、綺麗なんだ−
花だって蝶だって、そうやって消えていく。
だが僕には、そう言えなかった。
僕は、拳を握りしめる事ぐらいしか出来なかった
「やぁね、そんなに真面目に受け取らないで。困らせる気は無かったの」彼女は僕の頬を優しく撫でる。
夕日の逆光を浴びた彼女は、目を逸らしたくなる程美しかった
僕は、彼女の離れそうな腕を強く掴む
「頼む、、行かないでくれ」
ただ、それだけだった。
「そんな事言わないで。あたし、そんな事言われたら、、」彼女は困ったように微笑むと、僕の肩口に顔を埋める。彼女の呼吸が乱れると共に、どこか遠くから電子音が鳴り響く。
そんな悪夢だった。いや、悪夢の方がまだ救いはあった。
「北野さん、朝ですよ。体調はいかがですか?」
看護婦はゆっくりとドアを開ける。
朝日の逆光を浴びていた僕は、震える声で答える
「妻が、、、妻が、、待ってるんです。今日は結婚式で、、、ドレスを着て待ってるんです」
僕はベッド柵を強く握りしめる。
「はい、北野さん元気ですね。怖い夢でも見たのかな?
大丈夫ですよ。先生が来るまで、鎮痛薬を投与しましょうね」看護婦は、僕の点滴に触れる。
ベッドの上には、仲睦まじい夫婦の写真が立てられている。ガラス越しに反射した朝日が、彼女の輪郭を曖昧にしていた。写真立てのすぐ下に、一枚の花びらがあった。誰にも拾われないその上を、逆光だけが静かに照らしていた。カーテンが風もないのにわずかに揺れ、部屋には点滴の音だけが残っていた。
「ねぇ、起きてよ。秀人」
彼女は彼の冷たい頬に触れる、冬の冷えた空気が全身を包み込むような気がした
「どうした美咲、こんな所で」
彼は重い頭を持ち上げ彼女を見つめる
「どうしたって、、ほら、」
彼女は軽く呆れたように微笑むと指で示す
「え、、?」
頭を上げると、そこには煌びやかなツリーが浮かび上がっていた。
「あぁ、、クリスマスだもんな」
「どうする美咲、俺たちも行こうか?」
振り返って彼女を見つめる。
奥へと続く空間は幻想的な雰囲気に包まれており、家族や恋人たちの楽しそうな笑い声が聞こえる。
遠い目をしている彼女の手にそっと指を絡める
「、、、エッチ」
「何言ってんだよ。いつもの事だろ?」
彼女が恥ずかしそうに目線を逸らすのを彼は微笑ましく見つめる。
「悪いな、」
彼女は彼の言葉に驚いたように、目をパチクリさせる
「えっ、、?」
「いや、、その。ほら、恋人らしい事出来なくてさ」
彼は恥ずかしそうに頭をかく
「好きだ、美咲。伝えるのが遅くなってすまない」
彼女は彼の言葉に軽く微笑む
「知ってた」
彼女は彼の手を握り返すと優しく微笑む。
「何年一緒だと思ってるの?、、私も好きよ」
彼女はその言葉を機に涙を落とす
その涙は彼女の頬を伝い、静かに雪の中にかき消される
彼は彼女をひときしり抱きしめ、指で涙を拭う。
「そろそろ行こうか。二人で一緒に」
彼は彼女の手を引き、光の灯る場所へと足を進める
「待って、秀人!」
彼女は彼を見つめると寂しそうに微笑む
外は一段と冷え込み何かを示唆するようだった
「、、、愛してるって言って」
彼は一瞬混乱したように彼女を見つめる。
「どうして、、急に」
「良いからお願い!」
彼女は彼にせがむような口調で言う
「あぁ、愛してる。大好きだよ」
彼は彼女を見つめ、頬に触れる。
その瞬間彼女の何かが崩れるような音がした
「、、最後に、、最後に」
彼女は彼のコートに顔を埋め、声を詰まらせて言う
「今までに無いぐら、強く、強く、抱きしめて」
彼女の要望に応えるよう、彼は彼女を抱きしめる
細い身体の震えが自然と収まるのを感じる
彼は彼女を離し、彼女にそっと唇を重ねる。
浅くもなく深いわけではない。ただお互いの体温を求め合うように1秒でも長く重ねた。
唇を離し終えた頃には、彼女の震えは完全に収まっていた。
「ねぇ、秀人。あの光の奥に向かってかけっこしない?」
彼女はそっと手を離すと彼の方をみる。
「かけっこ、、?珍しいな。良いよ。その賭け乗った」
「もし俺が勝ったら、、正式に結婚しよう」
彼女は一瞬彼の言葉に物憂げな顔をする
「とにかく、勝負よ?最後まで振り返っちゃダメ」
「振り返ったら、、?」
彼は悪戯っぽく彼女に聞く
「そうね、引っ叩くわ」
彼女はクスッと笑いながら言う
それにつられて彼も微笑む。
「行くよ、、、?」
彼女は彼にサインを送ると思いっきり背中を押す。
その時は、まだ何も知らなかった。ただずっと彼女がいてくれると思ってた
「ありがとう、愛してるよ」
遠くから彼女の優しい声が聞こえる
「バイバイ」
ただ俺は、光の方へ走ることしかできなかった
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「速報です、」
深夜を過ぎた頃、一つの知らせが届く
「午後23時頃、軽自動車が歩道側に突っ込み男女計2名が被害に合う事故が起きました。意識不明の状態で搬送されましたが、女性の方は頭部を強く打っていたため、たった今死亡が確認されました。男性の方は一命を取り留めましたが意識不明の重体です。目撃者によると、、、、、、、」
点滴が振り子のようにゆっくりと揺れ動く、荒い電子音が満遍なく響き渡る
「あぁ、、、、、、」
情けない声が部屋にポツンと響き渡った
ただ彼女の温もりだけが全身を浸食していく
俺は出来なかった
何も何も
出来なかった。
「何で言ってくれなかったんだよ!!」
境界線ってなんだろう。
言わなくても伝わるって信じてたから
言わなかったんだよ。
だって長年共に過ごした相手だから、伝わるかなって思っただけよ。
「どうして毎回こうなんだよ!」
言ったとしても、気付いてくれた?
貴方の中で何かが変わってた?
もう無理だって知ってたから、何も言わなかっただけなのよ
「大丈夫?」「○○は優しいから」
「どうしてそんな事をするの?」「私がいるから」
ごめんね、私そう言う人嫌いなの。
人助けって素敵な言葉ね。
見捨てておくのが可哀想なのかしら。
そんなに私が惨めに見えるのかな?
ありがとう。貴方は凄く優しい、
草木を踏み潰して、貴方は綺麗な花束を贈る
でも、荒地に綺麗な花はいらないでしょう?
綺麗な手と醜い手
私は嫌いなの。そんな貴方が
「あぁ、遠くで雷鳴ってるね」
「たぶん7秒だから2380メートル離れてる」
「今日は一緒にいたいな」
、、、、なーんてそんな相手はいないんです。