あんな子がきっとモテるんだろうなぁ
誰とでも仲良しで、無邪気で
愛想が良くて可愛くて、おまけに天然で。
私とはまるっきり違う。
貴方と私の共通点なんてないの。
もしね、ほんの少し似ているのなら涙だけ。
私は孤独で泣くけれど
貴方は、ひっそりと泣いてるでしょう?
私は自分に愛された孤独人で
貴方は、周りに愛された孤独人。
私には、貴方の気持ちなんてわからない。
でも、少しだけ後悔しているの。
もう少し分かり合えたらなって。
貴方は、生きたいのかなぁって言うけど
私は、そんな貴方が少しばかり羨ましかったの。
貴方には常に影があった。
いつも光が当たってたの。
その存在を明確に示すかのように日が照らされていた。
そんな私には影すら無かったの。
だから、羨ましかった
貴方の周りには、花があって、水があって。
たとえ枯れても、それらが慰めるように寄り添ってくれる。
もう私は枯れたのだから、荒地となって残るだけ。
心配なんてしないわよ。だってこれが普通なの。
そう、普通なのよ。
体が荒れているのなら、心も荒れていて欲しいかった。
光なんて差し込むはずがないのに、それを期待しちゃうの。
真面目に生きて、この様を貴方は笑ってくれますか?
どうかお笑いになって。
それがせめてもの生きがいですから。
ないものねだりなんて沢山あるの
足が速くなりたいとか
地頭が良くなりたいとか。
でもね、一番は何?って聞かれたら
誰よりも深く愛されてみたいなぁって思うの。
たった1人にね。
私に生きる意味を与えて欲しい
心に降る雨に、貴方が傘をくれるならそれで良いの。
たとえ、それが誰であろうと私は良いからさ。
そしたらね、隣の女性が言ったの。
そういう人が狙われやすいんだ、って。
皮肉よね、それ。
「あの子かっこ良いね」
「そりゃアイドルだからカッコ良いのよ」
彼女は私を見た。
「そんなに好きなら、握手会に行けば?
チケット取ってあげるから」
私はふっと微笑んだ。
「良いの。会いたくない」
「・・・え?どうして」
「会わない方が良いの。会えないからこそ特別に見えるの。神様だってそうでしょう?姿が見えないからこそ、どの時代でも人気があるの」
「それを、意図的に作るの?」
彼女は怪訝そうに眉を顰めた
「飽き性だから、あたし。それに会わないからこそ、より格好良いの」
ふうん、と彼女はストローを回した。
---------自己中ね。
その言葉に私は思わず吹き出す
「確かに」
「それは愛なの?」
「ファンは必ず愛さなきゃいけないの?」
「じゃあ、貴方にとっての存在って?」
「ただの目の保養よ」
だからこそ、と言って私は静かに立ち上がる。
「見えないから、美しいのよ」
もし、2人ぼっちでいられるなら
人生を捨てちゃいたい。
真っ白なワンピースに真っ赤なヒールを履いて
逃げ出しちゃおう。
映画のワンシーンみたいに
夢のように、魔法のように
今夜だけは、特別輝くの。
そして、その魔法が溶けたら
雪解けみたいに消えちゃうの。
それが守れるのなら
今夜12時にお会いしましょう、か。