「もうすぐ卒業ね」
私はふっと微笑んだ
もう夕日は沈みかけていて、橙色に染まった空が二人を包み込んでいた。
彼はふっと微笑む。
「もう少し真面目でいれば良かったかもな」
「悔いが残るの?」
その言葉に彼は恥ずかしいそうに頭をかいた
「頑張れよ。優香は県外の大学だろう?」
その言葉に一瞬口を結び、彼を見た
「蒼梧もこっちにすれば良かったのに」
「優香と違って、頭は悪いんだよ。それに俺は県内がお似合いさ」彼はそう笑って見せた。
県内ね、とため息を漏らす。
「じゃあ、私がそっちに来れば良かった?」
私はそっと彼の手を握った。
彼は一瞬驚いた後、ゆっくりと手を握り返す
「そんな事ないさ。俺は優香自身の道を進んでほしい」
素敵ね、と私は言った。
そしたら彼は何が?と聞いてきた。
「貴方のその綺麗な言葉、大好きよ」
私はそっと微笑んだ。
日が沈んでいたため、表情は見えていない。
うん、それで良かった。
彼は知らないでしょうけど、私は知ってるのよ?
その言葉の裏に潜む正体を。
出会った頃とは少し違う、甘い匂いがするの。
「ねぇ、蒼梧?」
私はそっと彼の頬に触れ、唇を重ねようとする。
そのままの貴方が、好きだった。
彼は一瞬驚いたように手首を掴み、距離をとった。
私はその瞬間、ふらっと倒れそうにる。
「俺は、君を大切にしたい」彼はそう言ったの
私は最後に笑みを浮かべた。
夜風がそっと私のスカートを揺らし、
黒い長髪をなびかせた。
わかってたんだよ。
私は、ふっと息を吐いた。
最初からそこに愛なんて存在しないって、こと。
3/6/2026, 10:55:02 AM