M.IZRY−いじゅ。

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11/27/2024, 10:46:03 AM

愛情


それは、意志あるものの象徴ではないだろうか。
それは、考える者の特権ではないだろうか。
ただ無作為に他を愛することなど到底できまい。
人間は特に。
縁、運命、番、さまざまな愛の象徴の言葉が出来た。
感情という一つの大きな括りが出来た。

愛が理解できないと言うのならば、"行きつけの店"を作ってみると良いよ。
なんでも良いし、どこでも良い。
それか、"暇な時にふと読む本"でも"手持ち無沙汰な時につい回すペン"。あとは……"暇さえあれば鏡で見てしまう自分"?

──まあでも、愛着なんて言葉もあるし、自己愛だと言う言葉もある。
人は、つい何かしらを愛してしまうらしいからね。

11/26/2024, 10:17:53 AM

微熱


いつからだったか、目で追いかけてしまうようになった。
可憐で、美しい。天使のような彼に、恋をした。

朝、何気なく挨拶をかけられる程度の関係。
ただのクラスメイト。
授業中にスマホを出して、トークアプリを開いているのを知っている。目元が、やんわりと弧を描いたのを知っている。体育のときはたまにズル休みすることを知っている。

それでも、彼の好きな食べ物も、趣味も、好きな人も、何も知らない。
柔らかな声が一層柔らかになる瞬間を、私は知らない。

けど、けれども、だとしても。
気持ちだけが、どんどんと募っていく。
寝たふりをして、放課後の彼の談笑に耳を傾ける。
ずっと聞いていたい。

それでも、これは、この恋は、許されない。

微かな熱を孕んだ彼の声がスマホ越しに誰かに伝わった。

11/14/2024, 12:08:12 PM

秋風


 さめざめと、風が泣いています。
 きっと、夏の終わりがさみしいのでしょう。

「おはよ、アキカゼくん」
「ナツキさんおはよ、あれ、髪切った?」
「切ってない。けど、結んだだけ」
「えー! 結んでたほうがかわいいよ。ずっとそのままでいてほしい」
「なにそれ」

 だんだんと肌寒くなってきましたね。
 冬が近いのでしょうか。

「ナツキさん転校しちゃったね」
「うん……フユネは、行かないよね」
「当たり前じゃない、あんたをおいていけないわよ」
「へへ、そっか」

 月が丸く、輝いていますね。
 やはりもうすぐ、冬がやってくるようです。

「アキカゼ、ごめんね。でも、何も知らないほうが幸せなことってあるでしょ?」
「うーん、でも、悪いことしたなぁ」
「大丈夫よ、ハルキくん。これは……そう、アキカゼのためだから。悪い事じゃないわ」
「でもさ、まだ"秋"は終わらないはずでしょ? なんでアキカゼくん"還っちゃった"の?」
「……わからない」

冬が終わって、春が来る。
最近は時間の流れが速いです。

「フユネちゃん? フユネちゃんも"還っちゃう"の? ……さみしくなっちゃうな」
「うん、ごめんねハルキくん。ナツキさんにも、また言っといてね。"秋風の夢を叶えてあげて"って」
「……うん。じゃ、また"来年"」

春夏秋冬一回り。
たとえ概念だとしても、心を持たせたくなるのが私の性。

11/13/2024, 10:25:48 AM

また会いましょう


繰り返す、それでも君は私を諦めてはくれないの?
私のせいで、この、君の居る世界は終わるのに。
それでも君は、手を、取ってくれる。
君は、なんで、

……もう、終わってしまうよ。
僕はまた繰り返す。
でも、今生きている君は繰り返せない。
繰り返すなんて、させない。
そんな目で、見ないで。
君の選んだ後悔だ。
君の望んだ選択だ。
もう、僕を追うことは出来ないよ。
ねえ、"プレイヤー"さん。

何度あなたがリセットしても
この世界の結末は変わらない。

繰り返す。繰り返す。ただ、ループするだけ。
それでも、あなたが望むなら。

「私は君と、また、出逢いたい……!」
「きっと……きっと、私を……見つけてね──」

涙無しでは語れない物語はもうすぐ閉幕。
その選択は彼女と君の物語を彩っていく。
悲劇か、はたまた喜劇か、それはあなた次第。

ぜひ、物語の中で、また会いましょうね。






「それは、僕じゃ、ない」

10/27/2024, 10:40:11 AM

紅茶の香り


──某所、何処かの通りのカフェにて。

「あれ、お前紅茶好きじゃないっけ」

 彼はテーブルの上に並んだティーカップを覗いてそう言った。彼の方にあるティーカップはとっくに空になり、乾いてきていた。
 一方で私のティーカップはほとんど手を付けられずに温くなっている。

「ええ、少々匂いが……好みではなくて」
「そう? コーヒーよりかはいい匂いだと思うんだけどなぁ」

 そう言うと彼は私の方のティーカップに徐ろに手を伸ばし、ぐぃっと一気に飲み干した。
 温かったのが気に入らなかったのか眉をひそめ、カチャンと音を立ててソーサーに置いた。

「やっぱ淹れたてが一番だ。アイスも悪くないけど」

 品に欠ける行いが似合ってしまう彼は、テーブルに伏せてあった本を取った。

「そう言えば、この本にもあったけどコーヒーってほんとに美味しいの? 俺には分からん。苦くてさ」
「ミルクか砂糖を入れてみては?」
「入れたけどさ〜……なんだろ、鼻に残る匂いが苦い」
「そうでしょうか?」

 彼は匂いを思い出したのか、また眉をひそめた。

「匂いと味がなんとかなれば飲めるのに……あと色」
「それはもはや違う飲み物ではないでしょうか……」
「お前も匂いが変われば紅茶飲めるでしょ」
「いえ、あの独特の風味がまた苦手でして……」

 何の気無しに、ふと目があった。
 お互い何処か気が合わないと思っていた。だが、思わぬところで、似たような要素を持っていたのが可笑しかったのか、二人は思わず笑ってしまった。

「ね、やっぱり俺ら気ぃ合うよ」
「ふふ、そうですね」

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