M.IZRY−I'm little cat.

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微熱


いつからだったか、目で追いかけてしまうようになった。
可憐で、美しい。天使のような彼に、恋をした。

朝、何気なく挨拶をかけられる程度の関係。
ただのクラスメイト。
授業中にスマホを出して、トークアプリを開いているのを知っている。目元が、やんわりと弧を描いたのを知っている。体育のときはたまにズル休みすることを知っている。

それでも、彼の好きな食べ物も、趣味も、好きな人も、何も知らない。
柔らかな声が一層柔らかになる瞬間を、私は知らない。

けど、けれども、だとしても。
気持ちだけが、どんどんと募っていく。
寝たふりをして、放課後の彼の談笑に耳を傾ける。
ずっと聞いていたい。

それでも、これは、この恋は、許されない。

微かな熱を孕んだ彼の声がスマホ越しに誰かに伝わった。

11/26/2024, 10:17:53 AM