赤い糸
人生、何が起こるかわからない。
初恋は幼稚園の先生だ(しかも同性)。
2回目の恋は小学校のクラスメイトの子。
引っ越してからもう会えないけど。
好きだと思った事は数知れず。
運命なんて甘ったれたモノ在るはず無いと思った。
それが昨日の飲み会で語った私の持論。
目が覚めた私は
二日酔いの頭痛をものともせずに
洗面台にて鏡を見た。
短い赤い糸が左手の小指から垂れていた。
血のようだと思ってしまった。
くるりと一周、軽く結ばれている。
柔らかそうな見た目とは裏腹に
固結びされたそれはほつれない。
どう見ても切られている赤い糸は
最近振られた私を嘲笑っているように見えた。
日常
楽しいこと
嬉しいこと
あるにはあるけど
つまらない日常
人並みの幸福は持っている
つもりで生きている
楽しい嬉しい
それ以上に苦しみが
私を圧し潰そうとしてくる
後ろの席の耳障りな笑い声
3匹の子豚ちゃんに負けないように
今日も下を見ながら生きていく。
早く狼に食べられてしまえよ
あいまいな空
──…さっきまで暗かったのに、もう水色だ。
──わかるよ、この時間はいつも"あいまい"だよね。
──…そうだね、いつも曖昧だ。
──これからどこに行くんだい?
僕はここに居なきゃいけないけど。
──…どこか遠くへ。君が見えない場所まで。
街
音符が飛び出すような軽やかな足取りで。
腕にはたくさんのショッピングバッグ。
新しいサングラスをかけて商店街を抜ける。
ブーツのかかとはげんきに音を鳴らす。
ここは、夢の街。
ここは、夢の国。
ここは、夢の星。
ここは、世界中の楽しいが漂う場所。
大きな車に荷物を詰め込んで、
「さあ、もう一回だ!商店街へ突入だ!!
せっかくなんだ、"夢"を楽しもうじゃないか!」
足を踏み出すと、愉しげな街の声が聞こえる。
朝日の温もり
船の上で目を覚ます。
カーテンで閉められたこの部屋は薄暗い。
揺れる船体にカタカタと動くレコード達。
カーテンをジャっと開けて甲板へ出ていく。
ぶわりと潮風が体を冷やす。
朝日が体を温める。
今日も海賊のラジオが始まる。
サングラスは朝日の温もりを反射する。