M.IZRY−I'm little cat.

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1/30/2025, 1:39:14 PM

まだ知らない君


──────

ふたりでひとり。
ひとりはふたり。

産まれた時から僕らは一緒。
僕らは一緒に産まれたんだ。

好きなものは甘いもの。
嫌いなものは甘いもの。

本当は君が好きだよ。
本当に君が嫌いだよ。

僕は君の全てを知ってる。
君の全てがわからないよ。

全部君の為。
全部君の為。

幸せになってね。


「結局、君の事何も知らないままだ」

1/22/2025, 11:03:01 PM

あなたへの贈り物
僕っ娘注意!名前出ます。(下の名前だけ)

────
髪の毛を櫛でとき、また綺麗に結び直される。
黒いスラックスに白のオーバーシャツ。
また髪の毛を結び直される。
イエローのフレアスカートにつばの広い白の帽子

「……ねぇ、もういい?」

「だめ」

彼に着せ替え人形にされること、かれこれ1時間……

何が気に食わないのか何度も髪型を変え、メイクを変え、服を変え……流石にもう疲れてきた。

「もういいよ、これで」

「だめ、納得いかない! やっぱり綺麗めでせめるかなぁ……いやかわいく……イケメンに……」

ブツブツと考え込みながらウォークインクローゼットの中へと手を突っ込む。
真剣に考えながら服を取り出す。

「せっかく誕生日なんだからさぁ、やっぱり最高にかわいくしたいじゃん。」

「別に君の誕生日の日にお願いしてくれれば着るけど?」

「何いってんの? サラが今日の主役なんだからさ、人目を惹くくらい可愛くしたい……や、でもナンパはされないで。」

「じこちゅー……」


・・・・


「よし、最高。可愛い。ぁ……うん、いい……んふふ」

「キモいよその顔……」

さらりと髪の毛を撫でられる。
少し細められた目と目が合う。

「ね、外出る前にちょっとだけ待っててくれる?」

「まだ何かあるの?」

「目、閉じてて! すぐだから」

言われたとおりに目を瞑る。
着替えているのか布の擦れる音が聞こえる。
パサリと布を掛けられた。

「……開けていいよ」

目を開けて見えたのは白だった。

「……なにこれ? 前見えないんだけど」

「あぁ、うん……ちょっとね、恥ずかしかったから……」

「恥ずかしいならしなきゃいいのに……」

布をあげると跪いた彼が居た。
真っ白のタキシードに、手には小さな箱。
上目遣いで見上げてくる彼の目は不安げに揺れている。

「その、俺と結婚してください」

「え、」

彼の顔がじわじわと赤くなっていく。
差し出された左手が自信なさげに下がっていく。

「や、っぱり柄じゃない、恥ずかし……」

湯気が出そうなくらい赤くなり蹲ってしまった。

可愛いと、そう思うのは惚れた弱みだろうか。
突然のプロポーズにまだ頭が追いつかない。
それでもなんだか心が満たされていく。

彼の手をとる。
腕の隙間から彼の目が見える。

「……ごめん、急に」

「いいよべつに」

「っ、ね……好き、だよ。 愛してる」

顔を赤くして必死に訴えかける姿がとてもいじらしい。

「僕も、好きだよ」

大好きだ、言葉では足りないくらい愛してる。
本当ならずっとここで、二人きりで過ごしたい。
外に出ないでずっと。

「よかった、ぁ……ね、驚いた?」

「凄く。今もまだ、夢みたい」

「サプライズ、誕生日プレゼントみたいな……大好きなの俺だけじゃなくてよかったー……!」

心底嬉しそうに赤みが残った頬を緩ませた。

「そういえば、その箱ってもしかして」

「あ、いや……」

彼は箱を隠すように体を丸めた。
目線を泳がせる。
気まずい時とかイタズラがバレそうな時によくしてる。

「その、断られたらって思うと……なんて、ずっと思ってたら間に合わなくって……それにペアリングは、なんかぁ……」

「なにそれ、僕が断るわけなくない?」

「いや、お揃い苦手でしょ? だからさ、受け取ってもらえなさそうって思っちゃって」

自分のことを色々と考えている。
それだけで"ほわほわ"としてくる。

「……じゃあその箱何が入ってたの?」

「ペアリングじゃないけどサラに似合うなぁって思って買っちゃった指輪」

「え?」

「今日のコーデのテーマでね、この指輪とサラに最高に似合うヤツ」

小さく何かの花を模している銀色の指輪。
とても凝った意匠でとても"買っちゃった"程度では済みそうにない。

「これ、」

「これが、今日の俺が贈る君へのプレゼント。貰ってくれる?」

「……うん」

嬉しそうに僕の左手の人差し指へと運んだ。
……サイズがピッタリだ。

「よし、俺は今から着替えます。流石にタキシードで町中歩くのは駄目だろうし」

いそいそと着替えだす彼。
さっきまで蹲っていた彼とはまるで別人。

もしかして、あれは作戦だったりするのか……?

「いこう! 今日はココロとかハユくんも来てるから。」

「……わかった」

とにかく、今日は何も考えずに楽しむことにした。
happy birthday 自分!















ほんのり人物紹介 苦手な人は苦手かも 自己防衛大事!
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サラ
今回の主役。今日誕生日を迎えた。
誕生日とか記念日の日は外で何かするよりも家の中でずっと一緒にいたいタイプ。

彼(一応名前あるけど……いる?)
今回のプレゼント係り。サラより2つ年上。
記念日とかは綺麗に着飾って誰彼構わず自慢したいタイプ。

ココロ
サラの幼馴染。彼の学友。

ハユくん
サラの幼馴染。本当はサラが好きだった。

1/21/2025, 11:01:30 AM

羅針盤


────
それは、世界の果てを指し示す。
丸い大地にいる僕らには、永遠に辿り着けない。
まっすぐ指している。
進め。
たとえその先に崖があったとしても。
たとえその先に奈落が音を立てていようと。
そして、見据えた果ては ──

・・・・

「なに、これ……」

ボロ切れみたいになりながら辿り着いた"世界の果て"。
それはとても悍ましい光景だった。

足元には白い欠片がいくつも落ちている。

それが”何”なのか。
考えることをやめた。

黒く煤けた羅針盤は重力に従いカラカラと廻る。
足を踏み出すたびに乾いた白い欠片の割れる音が響く。


羅針盤は、廻る。
愚かで純粋な君を嘲るように。

1/20/2025, 10:21:10 PM

明日に向かって歩く、でも
↑タイトル関係なくなっちゃった…かも……

───
何故かわからないけど、異世界という所に来てしまった。
右も左も分からない。
よくある"神様転生"みたいに事前説明なんて無かった。

けれど僕は運が良かった。

僕がいたのは騎士団の巡回ルートだったらしく、僕のことを拾ってくれた。
まあ、当分の間は事情聴取とかで戸籍とかその他諸々で詰められるだろうな……

一体どうして僕はこんな所に来てしまったのだろうか。

トラックに轢かれたとか、飛び降りたとか、踏切を渡ったわけでもない。
歩きスマホして電柱にぶつかって、前を見たら木が。え?

慌ててマップアプリを開いたけれど真っ白。

更には見たことない ─鹿のような角を持った猪のような─動物がこちらを"つぶらなひとみ"で見ていた。
……撫でようとしたら角ではたかれたが。

「……さて 現実逃避はそこまでにしましょうか?」

「貴方には "亡命罪" の容疑がかけられています。」

身に覚えのない、聞いたことのない罪状に問われている。
僕を見る厳つい騎士団長さん ─ケモミミは無かったけど尻尾が付いてる!しかもモフモフ─ の目はかなりきつい。

亡命って、国から逃げることでしたよね……たしか。
なぜこんなにも重罪を犯したかのような雰囲気で、あたかも僕が大罪人であるかのような視線を向けられているのだろうか。

「つきましては 暫くの間この"中間塔"に滞在してもらいます。司教代理様がお着きになり次第 貴方への審問が開始されます。」

"司教" "代理" "様" !!!
なんだかとても偉そうな肩書の方が来られるそうだ。

それにしても"司教"とは。
こう言うのって弁護士的な法律の人が来るものでは無いのか……?

それに取り調べじゃなくて"審問"……
いちいち言い方が凄く怖い。

その人が早く来て欲しいとも思うけど、来ないで欲しいとも思う。

「非常事態なので恐らくは4日後の昼あたりにお着きになるでしょう。心の準備を お願いします。」

それにしても

「それでは着いてきてください 貴方の部屋まで案内いたします。」

この人

「さあ お手を」

さっきから尻尾が千切れんばかりに揺れている。

12/4/2024, 12:31:58 PM

夢と現実


ある日、世界がひっくり返った。
地面は空に、空は地面に。
水は宙に浮き植物は逆さまに生える。
それでも、自分の足は大地に着いたまま。
目の前には大ぶりな杖を持った小さい少女。
少女が何か呟いた。

────目が、醒めた。

周りは水に囲まれている。
目の前には大きな獣。
その爪はヒビ割れている。
その赤い眼光は今にもこちらを射殺しそうだった。

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