羅針盤
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それは、世界の果てを指し示す。
丸い大地にいる僕らには、永遠に辿り着けない。
まっすぐ指している。
進め。
たとえその先に崖があったとしても。
たとえその先に奈落が音を立てていようと。
そして、見据えた果ては ──
・・・・
「なに、これ……」
ボロ切れみたいになりながら辿り着いた"世界の果て"。
それはとても悍ましい光景だった。
足元には白い欠片がいくつも落ちている。
それが”何”なのか。
考えることをやめた。
黒く煤けた羅針盤は重力に従いカラカラと廻る。
足を踏み出すたびに乾いた白い欠片の割れる音が響く。
羅針盤は、廻る。
愚かで純粋な君を嘲るように。
1/21/2025, 11:01:30 AM