MZRYA−I'm little cat.

Open App

秋風


 さめざめと、風が泣いています。
 きっと、夏の終わりがさみしいのでしょう。

「おはよ、アキカゼくん」
「ナツキさんおはよ、あれ、髪切った?」
「切ってない。けど、結んだだけ」
「えー! 結んでたほうがかわいいよ。ずっとそのままでいてほしい」
「なにそれ」

 だんだんと肌寒くなってきましたね。
 冬が近いのでしょうか。

「ナツキさん転校しちゃったね」
「うん……フユネは、行かないよね」
「当たり前じゃない、あんたをおいていけないわよ」
「へへ、そっか」

 月が丸く、輝いていますね。
 やはりもうすぐ、冬がやってくるようです。

「アキカゼ、ごめんね。でも、何も知らないほうが幸せなことってあるでしょ?」
「うーん、でも、悪いことしたなぁ」
「大丈夫よ、ハルキくん。これは……そう、アキカゼのためだから。悪い事じゃないわ」
「でもさ、まだ"秋"は終わらないはずでしょ? なんでアキカゼくん"還っちゃった"の?」
「……わからない」

冬が終わって、春が来る。
最近は時間の流れが速いです。

「フユネちゃん? フユネちゃんも"還っちゃう"の? ……さみしくなっちゃうな」
「うん、ごめんねハルキくん。ナツキさんにも、また言っといてね。"秋風の夢を叶えてあげて"って」
「……うん。じゃ、また"来年"」

春夏秋冬一回り。
たとえ概念だとしても、心を持たせたくなるのが私の性。

11/14/2024, 12:08:12 PM