にわかなオタク MZRYA

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2/24/2024, 10:28:56 AM

小さな命

揺ら揺らと揺蕩う
眼の前にあるのは得体の知れない
でも、庇護するべき生物。

なんとなく「守らなければはいけない」という
思いに駆られる。

目も開けず、声も出さず、ただ揺ら揺らと。

ほんのり光るだけの
意志のない生命体

──意思がないのに生命体と言えるのか?
  今目の前にあるのは息もしないし
  植物と言うにも無理がある。

──その答えは研究者に問うと良い。
  ロボットにも人権を与えようといった革命家にも
  問い合わせると良い。

──その答えは我々研究者では答えかねます。
  なので提唱し始めた聖職者に聞きなさい。

──ロボットとソイツはちょっと違う。
  どうしても知りたいってんなら
  霊媒師かなんかに聞いてみな。
  きっと望む答えがあるはずさ、多分な。

これは天に昇った者たちが遺した小さな命。
目の前で揺られているのは
紛れもない生命体と呼べるでしょう。

意思がなくとも
考えることができているならば
それは生きている証です。

2/17/2024, 4:40:30 AM


──猫またが出るってよ

行願寺の辺り、夜になると
化けてでてくるって
その辺りに住んでいた私は
窓辺からそうっと
外からは見えないように慎重に覗いてた

「はぁ~あ!ここらのはもう制覇しちゃったかねぇ…」

坊主頭の男が歩いている。
彼奴は誰よりも連歌が好きな俗な法師だ
名前はなんだったか、何阿弥陀仏だとかいったか。

そういえば今日もここいらで
連歌の集まりがあったな。
思いの外盛り上がった末に
あの法師が優勝したらしい。

「ふふん、俺に勝てるやつはもう居ないだろう。」

扇や小箱を懐に入れて悦に浸る法師は
暗闇の中光る目に気づかない。
鼻息を荒くして法師に向かっていく。

「ん?ひ、うわぁあ!!」

素早い動きで法師の足元へ行ったと思えば
今にも頸を食い千切らんとするほど
大きく口を開け飛びついた。

「ひえぇ、猫まただ、猫またが出た!助けてぇ!」

大声に何だ何だと人々が
松明をともして出てくる。

「どうしたんだ、こんなとこで大声だして」
「猫まただよ!あ、アイツがでやがったんだ、俺を食おうとした!!」

町の人は法師を助け起こそうとするが
腰が抜けたのかズルズルとしなだれている。
尚もやいやいと騒ぎ立てる法師は
ハッとしたかのように人の手から逃れようとする。

「そうだ!ここにはまだ猫またがいる!に、逃げねぇと、今度こそ食われちまう!!」

腰の抜けたまま這う這うの体で
自分の家へ逃げ帰ろうとする。

その後を追うように
法師の飼っている黒い犬が
走り抜けて行った。

法師の後ろ姿を見る町の人々は
呆れたように肩をすくめた。

誰よりも連歌の好きな法師の
間抜けな叫びがまた響いた。

2/14/2024, 1:09:29 PM

バレンタイン

会話文オンリー ─────


「ねえ、今日さチョコ持ってきた?」

「持ってきた持ってきた!てかさ、今日テストは
まじヤバくね~空気読めてない」

「それな〜?」

「3分前着席とかだるすぎ」

「ひざ掛け無しは普通に寒いんだが〜」

「「それな」」

「あ、ヤバ先生キタ」

「じゃ、放課後渡すから」

「りょ~」

2/13/2024, 4:52:22 AM

伝えたい


嘗て貴方は言いましたね

想いは、或いは思いは、人から人へ渡るのです。と

決して、喪われていいおもいはないのです。と

ならば私は、渡す相手のいない私は
誰に、何に、渡せばよいのでしょうか。

このおもいは、喪われてしまうのですか

貴方がいなければ、伝えることもできないではないですか

神よ、神よ、もし貴方様が観ているのなら
このおもいをどうか、どうか、あの御方にお伝え下さい。

今からそちらにお窺いいたします。

1/27/2024, 12:26:12 PM

優しさ

やさしい、ってなんだろう。
考えてみた。
やってみた。

まずその1、
泣いている人がいたら声を掛ける。

大丈夫?

…………

ねえ、大丈夫?

…………

声も出ないくらい悲しいことがあったんだね。
大丈夫だよ、私は味方だよ。

………ぃ

ん?どうしたの?

うるさいよ!さっきから、うるさいの!どっかいって!ひとりにして!ほっといてっていうのがなんでわかんないの!?うざい!!

シミュレーション終了。
私は優しくできていたかな?

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