にわかなオタク MZRYA

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1/22/2024, 9:31:39 AM

特別な夜

サラサラの雪が降る。

視界が少しくすんでる。

名前を呼ばれた気がして、

真っ赤な帽子が目に刺さる。

シャラン、シャランと

涼やかな鈴の音。

真っ白な世界に

ふわり、

漂う魂。

もう、さみしくないね

1/20/2024, 1:12:20 PM

海の底

口にいれると、ジュワぁっと味が溢れてくる。
旨い。そうとしか言いようがないくらいに、旨い。

「お気に召されましたか?"王子"」
「ああ、毎日でも食べたいくらいだよ、この……」

    『海の肉』

──────

1/14/2024, 11:55:15 AM

どうして

しん…と教室が静まりかえる。
皆は僕らを見ていた。

「いっ……」

机にぶつかりながら崩れ落ちた彼奴
僕の手には開かれたハサミ。

「…………」

誰も彼もがこっちを見る。
ガラッと先生が入ってきて
みんなを見て、僕を見て、彼奴を見る。

「な、なにやってるんだ!」

乱暴に教室の壁に追いやられる。
ガシッと肩を掴まれてイタイ。
僕の手からハサミが落ちる。

その音を皮切りに
みんなが恐怖を示し始める。

「だ、だいじょうぶ…?」
「いてぇ…マジ痛えんだけど、血が、」

ざわざわと彼奴の方に群がる。
コッチには見向きもしない。

腕から血を流す彼奴を見て
殴られたお腹が、絞められた首が
当時の痛みを思い出していく。

どうしてみんな
そっちにいくの?


僕を見る目は何でかみんな、冷たかった。

1/13/2024, 12:10:36 PM

夢を見てたい

ジリジリと肌を焼く。
直接肌に映る赤色。
焦げ臭いし、汗で体がベトベトだ。
息もしづらい。

眩しくて目を開けてられない。

ああ
くるしいあつい

煙が目に染みる

ゆめをみる
みんなぼくをみる
わらってる
ぼくもわらう
みんなわらう
ぼくもわらう

自我を持った赤い光
じわりじわりとカーペットを焼いている。

はながいっぱい
きれいなはな
みんなつばさをもっている
だれ?
だれ?
だれ?

どこが

僕の理想?

1/9/2024, 12:12:34 PM

三日月





⚠二次創作要素が入っています。⚠
⚠苦手な方は飛ばしてください。⚠





季節外れの桜が乱れる新緑の庭。

さらり、と気持ち良く流れる爽風。

一気に息を吸い込むと、存外に冷えた空気が入って来る

考え過ぎて熱を持った頭を冷やすのには丁度良かった。

「主よ、」

縁側に寝そべったままであった自分の体躯に

誰かの足がぶつかった。

「……その声は、”三日月宗近”?」

「あなや…何故こんなところで転がって居るんだ?
まだ冷え込むだろうに…」

ほんの少し顔を顰めて自分の手を取ろうと腰を低くした。

下から見上げても三日月宗近という男は美しい。

「三日月さんはさぁ、理想とかあるの」

「理想?」

ふむ、としゃがみこんだ姿勢のまま考え出した。

手は自分の手を握ったままだ。

三日月の映った──本当は打ち除けらしい─が映った瞳は

長い睫毛で覆い隠された。

月に叢雲、と言ったか、そこまで邪魔とは言わないが

彼の瞳が隠れてしまったのは自分にとって災難なことだ。

すぅ、と息を吸う音が聞こえた

「俺は生憎、そこまで理想、とはっきりと言えるものは
持ち合わせていないなぁ。」

「そうか」

「さりとて、無いというのもまた、得も言われぬし…」

数分考え込んだと思ったら殊に曖昧な返事を返す三日月。

これが周りの人たちに爺と言われる所以なのだろうか

「あぁ、そうだ。」

ぱっと目を明けた三日月は

まるで悪戯っ子の──若しくは短刀達─ような顔をして

「俺は主のような男前になりたいなぁ、」

細めた目には自分の顔が薄っすらと映っているのが見える

「未だ二十と少ししか生きていない癖に、数十、数百年の間刀剣として生きてきた俺達と、」

自分の手を握っていない、左手でそぅっと

「少なくとも、人の一人は殺したことのある俺や
他の刀剣達を笑顔で迎え」

壊れ物を扱うように瞼の辺りを撫で回す。

「俺達付喪神といえど、神と共に暮らすだなんて……少なくとも、”俺は”、主を尊敬し、審神者として認めているぞ?」

言い終わったと同時にぐいっと上に持ち上げられる。

「うわっ!?」

「はっはっはっは…取り敢えず、此処では
談笑するには寒すぎるなぁ。」

ちらりと視界の端に白が舞う

あなや、と三日月が庭を見遣る。

目線の先には同じ白に紛れた鶴丸が居た。

後ろには燭台切が付いている。

「…燭台切が居るなら、大丈夫、かな?」

「どうだろうなぁ」

微笑む姿は月明かりに照らされ優美に照っている。

「……三日月、行ってきていいか?」

「ちゃんと近侍を着けていくのなら、な」

ゆるりと縁側に足を落とすと、ギシリと軋む音が響いた。

何処からともなく、雪玉が飛んできた。

いつの間にか起きてきた短刀たちも交えて

雪合戦が始まっていたらしい。

吐く息が白く染まる。

見上げると、綺麗な三日月が空に浮かんでいる。

思わず横を見ると

そこには三日月は居なかった。

もう一度見上げた月は薄い雲に覆われそうになっていた。

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