にわかなオタク MZRYA

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12/2/2023, 2:40:02 PM

光と闇の狭間で

眼の前には、吸い込まれそうな闇。
後ろは、振り返れないくらい眩しい光。

「……何ココ」

さっきまで布団で温まっていたのに
気づいたらこんな場所にいる。
意味がわからない。
というか

「───寒い!」

そう、とてつもなく寒い。

「何だよマジで…何処だよここ、今真冬だぞ?
暖房ねぇのかよ……」

腕を擦りながら周りを見渡す。
当然、暗闇の中なのだから何も見えない。
だからといって振り返ると
今度は逆に眩しすぎて何も見えない。

「あぁ゙〜!マジでここ頭悪い空間だなぁ!
そもそも何でこんなとこに居ンの!?オレ!」

叫んでみても木霊さえ帰ってこず。
本気ですべてを呑み込みそうな闇だ。




「───あ、」

何かを思いついたようだ。

「寝ちゃえば良いンじゃね!?多分寝てから
ここに来たんだし、寝れば万事解決じゃね!」

なんとも頭の悪い思いつきだった。
それでもこの状況でマトモな判断を下せるのは
極々少数だろう。

「じゃ~オヤスミどっかの誰かさーん……」

寝てしまった。
……本当に寝てしまった。

「スゥ、スー…」

ヤスラカな寝息とともに
後ろの光が強さを増す。

やがて男を呑み込みフッと消える光。
ソコに男は居なかった。
暗闇はやがてフローリングに敷かれた布団を吐き出した。
そこにも、男の姿は無かった。







何時でモ光が安全だと思わなイことだネ
教ぅ訓,ダネ!

11/23/2023, 11:03:26 AM

落ちていく

白い翼を見た
美しいその人
掴もうと手を伸ばした

呼吸が空回る
人形みたいに瞼が動かない

スルリ、と
頬に
その真っ白い指が
撫でるように

「───────、──」

真っ白な肌に
赤い唇が映える

「──?─────」

間違い無い
やっぱり
僕の

天使だ

「────、──、───────────。」

途端
溢れんばかりの光が
僕等を包む

「────」

息が停まる。

10/25/2023, 7:32:50 AM

行かないで

喉の奥に出かかった言葉を
涙と一緒に押し込めて
僕にできる精一杯の笑顔で


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
仲良しだったクラスの一人
あんまり馴染めない僕にも
声をかけてくれた。

ほとんど毎日一緒に帰って
土日は毎回同じ公園で
笑顔の絶えない毎日だった。

彼が風邪を引いて休んだとき

別に楽しくなかったわけじゃないけど
ちょっとだけ味気無い

みたいな。
やっぱり彼が特別なんだ
一人になった帰り道で
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ
そう思った。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

朝早くから空港に行くために
車に乗り込む君が見えた。

こちらに気づきもしないで
シートベルトを付けている君を
僕は恨むよ
せめてさよならくらいは言わせてよ。

喉の奥に出かかった言葉を
涙と一緒に押し込めて
できるだけ小さく手を振ってみる

車が走る少し前
目があったのは
本当のことだと思いたい。

10/17/2023, 12:14:12 PM

忘れたくても忘れられない

にゃう、と猫が一鳴き
真黒い猫が足元に擦り寄って来る。

此頃、また寒い季節がやって参りました。

そうすれば私は、あの時の事を想出します。
其の頃もまた、寒い季節でした。

同じ様な真黒い猫に擦り寄られて
もしかしたら、何て思ってしまう。

あンたはそんな事
思いやしないだろうけど
私だって忘れられない事ぐらい
在るもんです。


絶対、忘れてなんてやるもンですか。

10/15/2023, 11:18:06 AM

鋭い眼差し

真昼のジリジリと照りつける太陽から逃げるように
手足が震えてまともに走れない

呼吸も疎かになってきた
覚束ない足元を狙うように

ズサっと受け身などとれるはずもなく転んでしまう
身体中から血が絶え間なく流れ出す

このままでは格好のエサだ
太陽に向けている首元はジリジリと熱くて

息を整える暇なんてなく

視線を上に上げて必死に足を上げる

眼の前には
鋭い眼差しで僕を突き刺すアイツがいた。


走る






















「頭上にご注意ください」

と、アナウンス

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