夢を見てたい
ジリジリと肌を焼く。
直接肌に映る赤色。
焦げ臭いし、汗で体がベトベトだ。
息もしづらい。
眩しくて目を開けてられない。
ああ
くるしいあつい
煙が目に染みる
ゆめをみる
みんなぼくをみる
わらってる
ぼくもわらう
みんなわらう
ぼくもわらう
自我を持った赤い光
じわりじわりとカーペットを焼いている。
はながいっぱい
きれいなはな
みんなつばさをもっている
だれ?
だれ?
だれ?
どこが
僕の理想?
三日月
⚠二次創作要素が入っています。⚠
⚠苦手な方は飛ばしてください。⚠
季節外れの桜が乱れる新緑の庭。
さらり、と気持ち良く流れる爽風。
一気に息を吸い込むと、存外に冷えた空気が入って来る
考え過ぎて熱を持った頭を冷やすのには丁度良かった。
「主よ、」
縁側に寝そべったままであった自分の体躯に
誰かの足がぶつかった。
「……その声は、”三日月宗近”?」
「あなや…何故こんなところで転がって居るんだ?
まだ冷え込むだろうに…」
ほんの少し顔を顰めて自分の手を取ろうと腰を低くした。
下から見上げても三日月宗近という男は美しい。
「三日月さんはさぁ、理想とかあるの」
「理想?」
ふむ、としゃがみこんだ姿勢のまま考え出した。
手は自分の手を握ったままだ。
三日月の映った──本当は打ち除けらしい─が映った瞳は
長い睫毛で覆い隠された。
月に叢雲、と言ったか、そこまで邪魔とは言わないが
彼の瞳が隠れてしまったのは自分にとって災難なことだ。
すぅ、と息を吸う音が聞こえた
「俺は生憎、そこまで理想、とはっきりと言えるものは
持ち合わせていないなぁ。」
「そうか」
「さりとて、無いというのもまた、得も言われぬし…」
数分考え込んだと思ったら殊に曖昧な返事を返す三日月。
これが周りの人たちに爺と言われる所以なのだろうか
「あぁ、そうだ。」
ぱっと目を明けた三日月は
まるで悪戯っ子の──若しくは短刀達─ような顔をして
「俺は主のような男前になりたいなぁ、」
細めた目には自分の顔が薄っすらと映っているのが見える
「未だ二十と少ししか生きていない癖に、数十、数百年の間刀剣として生きてきた俺達と、」
自分の手を握っていない、左手でそぅっと
「少なくとも、人の一人は殺したことのある俺や
他の刀剣達を笑顔で迎え」
壊れ物を扱うように瞼の辺りを撫で回す。
「俺達付喪神といえど、神と共に暮らすだなんて……少なくとも、”俺は”、主を尊敬し、審神者として認めているぞ?」
言い終わったと同時にぐいっと上に持ち上げられる。
「うわっ!?」
「はっはっはっは…取り敢えず、此処では
談笑するには寒すぎるなぁ。」
ちらりと視界の端に白が舞う
あなや、と三日月が庭を見遣る。
目線の先には同じ白に紛れた鶴丸が居た。
後ろには燭台切が付いている。
「…燭台切が居るなら、大丈夫、かな?」
「どうだろうなぁ」
微笑む姿は月明かりに照らされ優美に照っている。
「……三日月、行ってきていいか?」
「ちゃんと近侍を着けていくのなら、な」
ゆるりと縁側に足を落とすと、ギシリと軋む音が響いた。
何処からともなく、雪玉が飛んできた。
いつの間にか起きてきた短刀たちも交えて
雪合戦が始まっていたらしい。
吐く息が白く染まる。
見上げると、綺麗な三日月が空に浮かんでいる。
思わず横を見ると
そこには三日月は居なかった。
もう一度見上げた月は薄い雲に覆われそうになっていた。
光と闇の狭間で
眼の前には、吸い込まれそうな闇。
後ろは、振り返れないくらい眩しい光。
「……何ココ」
さっきまで布団で温まっていたのに
気づいたらこんな場所にいる。
意味がわからない。
というか
「───寒い!」
そう、とてつもなく寒い。
「何だよマジで…何処だよここ、今真冬だぞ?
暖房ねぇのかよ……」
腕を擦りながら周りを見渡す。
当然、暗闇の中なのだから何も見えない。
だからといって振り返ると
今度は逆に眩しすぎて何も見えない。
「あぁ゙〜!マジでここ頭悪い空間だなぁ!
そもそも何でこんなとこに居ンの!?オレ!」
叫んでみても木霊さえ帰ってこず。
本気ですべてを呑み込みそうな闇だ。
「───あ、」
何かを思いついたようだ。
「寝ちゃえば良いンじゃね!?多分寝てから
ここに来たんだし、寝れば万事解決じゃね!」
なんとも頭の悪い思いつきだった。
それでもこの状況でマトモな判断を下せるのは
極々少数だろう。
「じゃ~オヤスミどっかの誰かさーん……」
寝てしまった。
……本当に寝てしまった。
「スゥ、スー…」
ヤスラカな寝息とともに
後ろの光が強さを増す。
やがて男を呑み込みフッと消える光。
ソコに男は居なかった。
暗闇はやがてフローリングに敷かれた布団を吐き出した。
そこにも、男の姿は無かった。
何時でモ光が安全だと思わなイことだネ
教ぅ訓,ダネ!
落ちていく
白い翼を見た
美しいその人
掴もうと手を伸ばした
呼吸が空回る
人形みたいに瞼が動かない
スルリ、と
頬に
その真っ白い指が
撫でるように
「───────、──」
真っ白な肌に
赤い唇が映える
「──?─────」
間違い無い
やっぱり
僕の
天使だ
「────、──、───────────。」
途端
溢れんばかりの光が
僕等を包む
「────」
息が停まる。
行かないで
喉の奥に出かかった言葉を
涙と一緒に押し込めて
僕にできる精一杯の笑顔で
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
仲良しだったクラスの一人
あんまり馴染めない僕にも
声をかけてくれた。
ほとんど毎日一緒に帰って
土日は毎回同じ公園で
笑顔の絶えない毎日だった。
彼が風邪を引いて休んだとき
別に楽しくなかったわけじゃないけど
ちょっとだけ味気無い
みたいな。
やっぱり彼が特別なんだ
一人になった帰り道で
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ
そう思った。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
朝早くから空港に行くために
車に乗り込む君が見えた。
こちらに気づきもしないで
シートベルトを付けている君を
僕は恨むよ
せめてさよならくらいは言わせてよ。
喉の奥に出かかった言葉を
涙と一緒に押し込めて
できるだけ小さく手を振ってみる
車が走る少し前
目があったのは
本当のことだと思いたい。