M.IZRY−I'm little cat.

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10/17/2023, 12:14:12 PM

忘れたくても忘れられない

にゃう、と猫が一鳴き
真黒い猫が足元に擦り寄って来る。

此頃、また寒い季節がやって参りました。

そうすれば私は、あの時の事を想出します。
其の頃もまた、寒い季節でした。

同じ様な真黒い猫に擦り寄られて
もしかしたら、何て思ってしまう。

あンたはそんな事
思いやしないだろうけど
私だって忘れられない事ぐらい
在るもんです。


絶対、忘れてなんてやるもンですか。

10/15/2023, 11:18:06 AM

鋭い眼差し

真昼のジリジリと照りつける太陽から逃げるように
手足が震えてまともに走れない

呼吸も疎かになってきた
覚束ない足元を狙うように

ズサっと受け身などとれるはずもなく転んでしまう
身体中から血が絶え間なく流れ出す

このままでは格好のエサだ
太陽に向けている首元はジリジリと熱くて

息を整える暇なんてなく

視線を上に上げて必死に足を上げる

眼の前には
鋭い眼差しで僕を突き刺すアイツがいた。


走る






















「頭上にご注意ください」

と、アナウンス

10/15/2023, 5:34:07 AM

高く高く



⚠二次創作要素が入っています。⚠
⚠苦手な方は飛ばしてください。⚠



月が丸く輝く夜
美しい黒猫に誘われた夜
あの日から数ヶ月と
経とうとしていた。

「主様、身体が冷えてしまいます。
そろそろ屋敷の中にお戻りになられては?」

振り返るとそこには
黒と白の燕尾服を着た男
もとい、ベリアン・クライアンが
心配そうな瞳で
こちらを伺っていた。

「……そうだね、そろそろ戻ろうかな」

立ち上がろうとすると
突然木の上から

「えぇ〜!?もう帰っちゃうんですかぁ~…?」
「この声は、ラムリくん?」

ベリアンが木の上を見上げながら
驚いた声を出す。

紫色の癖っ毛を風に揺らしながら
木の上からこちらを見下ろしている男
もといラムリ・ベネットは
ギザギザの歯を見せながら

「だってだって、今日はと~っても月が綺麗に見えるんですよ!もう帰っちゃうなんてもったいないですよ〜!」
「ですがラムリくん、このまま外に居たら
風邪をひいてしまいますよ。」

ベリアンがそう言うと
ラムリはハッとした顔で

「そ、そうだった!主様、風邪ひいちゃう!
主様、寒いよね、気づかなくってごめんなさい!」

バッと木から飛び降りたかと思うと
ぎゅうっと抱き締められてしまった

「ラ、ラムリ?大丈夫だから、離して……
ちょっと、恥ずかしい…かも」

そう言うと勢いよく離れて

「ごごご、ごめんなさい!!僕、つい焦っちゃって…!」

顔を赤くして慌てだすラムリを見て
相変わらず感情豊かな人だなぁと思い
つい笑ってしまう。

「ふふ、ラムリくんは相変わらずですね。
確かに、今日は空気が澄んでいて
星も月も綺麗に見えますね。」

ベリアンにそう言われ
顔を上げてみると
木々の隙間から溢れんばかりの光が
射し込んでいた

澄み切った空に浮かぶ月を見て
思わず手を伸ばしてしまった

「主様?どうかされました?」

ベリアンの声にハッとする
美しい月は今にも零れ落ちそうで
もしかしたら、この手に
落ちてきてくれるかもしれないと
そう思った。

「ううん、なんでもないよ。
そろそろ帰ろう。ベリアン、ラムリ」

そう言うと二人は
わかりましたと言い
ベリアンは自分の少し前を
ラムリは自分の少し後ろを
歩き始める。

自分達の真上には
今にも零れ落ちそうな
月が在る。

それでも
月は高く高く
誰にも届かない空に
星と身を寄せ合って
浮かんでいる。

10/14/2023, 1:10:21 AM

子供のように

◯月◯日

彼はいつも僕を見つけると
一目散に駆け寄ってくる。
特に何も言わずひたすらに。
僕に触ると毎回

「タッチ!次は君が鬼!」

と言い、途端に笑顔になって
さぁっと離れてく。

これを追いかけずにいると
拗ねた顔で戻ってくる
追いかけていくと
殊更笑顔になって逃げていく。

毎回毎回何が楽しいのか
それでも
子供のようにはしゃぐ彼を
自由な箱庭で飼い続ける。


◯月△日

今日も彼



        ずたずたに切り裂かれ
       とても読める状態じゃない。




△月 日

彼はまるで子供のように
無邪気で
無垢で
残酷だ
彼はまるで
悪魔のようだ
死んでしまう
このまま続けるのは危険だ
処分を検討し始めてもいい頃だろう。

10/3/2023, 2:36:03 AM

奇跡をもう一度

布団の中からでもわかるくらいの強い光が
覚醒しきってない頭を刺激する。
光が見えないくらいに布団を深く被ろうとすると、すごい勢いで布団ごと引っ張られる。

いきなり開けた視界に目の奥がじんじんする。
やっと慣れてきた目に映ったのは

陽に反射して輝く湖

眼の前の光景に呆然としていると、後ろから草を踏み分ける軽い音が聞こえた。
まるで自分のことが見えてないかのようにそのまま横を通り過ぎる。

まだ幼さの残る顔立ちの少女が湖の淵に立つ。
湖はキラキラ光って少女の影を映し続けている。

「----.------- ---」

湖の中の少女が
一瞬
こちらを
見据えた気がした。

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