のーねーむ。

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10/15/2024, 11:01:28 AM

まるで鷹のような彼は
今も獲物を狩る前みたいに鋭い視線を送っている
何もない、空中に


目つきの悪い俺は
いつも誰かに怖がられながら過ごしていた
それでも、今日はそれを無くさなければいけない
彼女に怖がられないように

けれどそう思えば思うほどに
緊張で目はつり上がっていく

顔が、燃えるように熱い
握っていた指先が、力の込めすぎで白くなる
体中から汗が噴き出す

「ー好きです。」

小さく声が聴こえる
その言葉の意味を、私は数秒経って理解出来た

あぁ、なるほど
だからそんなに視線が鋭かったのね
何もないところへ送っていたのね
気恥ずかしかったのね

鷹のような彼が、凄く、可愛く見えた

10/14/2024, 11:26:04 AM

緩やかな坂の上にある、住宅街
その一角にある家には
いつも、彼がいた

彼は当時の年齢、小学生にしては凄く
大人びている人だった
それでも私たちと一緒にバカなイタズラをして
大人に怒られる、子どもらしい一面を持っていた

そんな彼のことを、私は好きだった
ずっと、友達で居たかった


けれども、時間の流れは残酷で
彼とお別れすることになった

「クローン病」というものになってしまったらしい
小腸や大腸内の粘膜が爛れる病気だ
難病指定もされている

故に彼は、病気に入院することになったらしい
そしてなかなか、戻ってこれないと

それを聞いた私は泣きじゃくった
身体の水分が枯れてしまうんじゃないか。と思うくらい
それはもう泣きじゃくった

今となっては、後悔している
彼を、慰めなかったことに
いくら大人びた彼であっても辛かったはずだ
泣きたかった筈だ

赤い屋根の上に、シャボン玉がのぼった
高く、高く、空へのぼった
そうして、壊れて消えた

10/13/2024, 10:47:05 AM

昔、急に甘えたくなって
一番背の高い君に抱きついた
そうしたら、

「しょうがないなぁ」

なんて言って、君は受け入れてくれたね

それが嬉しくて、事あるごとに君に抱きついて
一緒にいたのは
もう、黒歴史に近い大切な思い出だよ

ずっと一緒にいて、ゆっくりゆっくり好きになった
そして突然、自覚した

もう、子どもみたいには、甘えられないなぁ
君が好きと、知ってしまったから

10/12/2024, 10:51:35 AM

いつも、ひとりで帰ってしまうあなた
それを少し離れたところから見守る私

どうしよう、変質者みたいだわ

学校帰り、部活に入っていないあなたは
まっすぐ家に、帰宅する
そうして私は、それを影から見届ける

最近、こんなルーティンが出来た

おかしいわね
本当におかしい

ただ、
「一緒に帰りませんか?」
なんて伝えたかっただけなのに
今では、プチ・ストーカーにまでなっている

何がどうしてこうなった

パニックを起こしながらも追いかけ続ける私は、
あの人が口元に小さく笑みを浮かべていたのに
気づいていなかった

10/11/2024, 10:33:01 AM

風が吹き、窓を覆うカーテンが
ふわり、と浮き上がった 

そして、あなたがキスをしているのが見えた
私じゃない別の子に

そうじゃないかと、思ってた
だってあなた
授業が終わったらすぐに保健室へ向かうもの

それは隣のクラスの佐藤さんも同じらしくて、
ふたりが寄り添い合いながら
保健室を出ていくのを見た人がいるんだって

バカね
ほんっとうにバカ

浮気するなら、もうちょっとうまく隠せっての

…そうしたら私も、傷つかずに済んだのに
私たちは、そのままで入れたのに

ふぅ

溜息をつく
幸せが逃げて行っても別に良い
もう十分、不幸せだから

よし、甘いものを食べて、忘れましょう
あんなバカなやつ、こっちから願い下げ
甘いものをいっぱい、いっぱい食べて、
幸せになりましょう
溜息をつけないくらい、幸せに

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