緩やかな坂の上にある、住宅街
その一角にある家には
いつも、彼がいた
彼は当時の年齢、小学生にしては凄く
大人びている人だった
それでも私たちと一緒にバカなイタズラをして
大人に怒られる、子どもらしい一面を持っていた
そんな彼のことを、私は好きだった
ずっと、友達で居たかった
けれども、時間の流れは残酷で
彼とお別れすることになった
「クローン病」というものになってしまったらしい
小腸や大腸内の粘膜が爛れる病気だ
難病指定もされている
故に彼は、病気に入院することになったらしい
そしてなかなか、戻ってこれないと
それを聞いた私は泣きじゃくった
身体の水分が枯れてしまうんじゃないか。と思うくらい
それはもう泣きじゃくった
今となっては、後悔している
彼を、慰めなかったことに
いくら大人びた彼であっても辛かったはずだ
泣きたかった筈だ
赤い屋根の上に、シャボン玉がのぼった
高く、高く、空へのぼった
そうして、壊れて消えた
10/14/2024, 11:26:04 AM