モンブラコン*
~~~~~~~~~~~~~『生きる意味』
「貴方は人間じゃないね」
今では親友である助六の、初対面第一声です。
高校の入学式、体育館で、たまたま隣の席だった、小さな水晶玉の様なピアスを六個付けた
助六は、どうも“視える”奴だった。
「ば…ばれた~…え?どこまで解る系?」
「表面は人間。中身は…合成獣、犬の割合が
高い。…狼男が表現として最も近い」
校長先生の話に体を向け、眼だけこっち視てるピアス学生は、まぁまぁコワイ。
「寿命は、姉弟共に残り六百年位…」
「えぁ?テイちゃん(兄)達と一緒なんだぁ~へぇ」
それは良いこと聞いたかも。
「生きる意味は、楽しく生きる。」
「ん?何それ??」
「皆、生きるテーマがある。貴方…門君は、
楽しく生きる。がテーマ」
「オレの単純っ」
一瞬、オレの入学式限定簡易名札を見た助六は、小声にする必要のないボソボソとした声で、
話を続ける。
「皆も世界も、本当は単純。奇跡はそこら辺に
ありふれてる、見えてないだけ。だから、今見えてる奇跡の門君が、とても気になる」
「ははは…ありがと。入学式の後、どっかでお茶でもする?」
「あ!」
「何?どした?」
「今、門君のお家で、お姉さんが…お兄さん(弟)に……めちゃくちゃエロい事してる…!」
「ゴメン、この後用事出来たわ」
モンブラコン*
~~~~~~~~~~~~~『善悪』
デパートの屋上企画って良いよね♪︎
本日の催しは、スイーツ&ビアガーデン半分に、
子供向けの特設簡易遊園地&イベントステージ☆
「アイシュのしぇプーチペイメィポレがけ最高」
極甘スイーツに、姉さんもご機嫌全開です。
オレ達三姉弟、たまの外出を満喫しております。
お、ステージから大音量の音楽が流れて来た、
この曲は…女の子向けの戦隊アニメっぽいな、
やっぱそうだ、へぇ顔まで全身着ぐるみなんだ。
満員御礼観客の小さい女の子達と、ウチの姉は、歌って踊るが永遠に表情の変わらない正義のヒロインを、真剣に見ていた。
が、その時、ステージにオッサンが乱入。
オッサンは着ぐるみヒロインを捕まえ、首に
大きめのカッターを突き付けた。
「がんばれプリティーナ~っ」
生々しい演出だと受け入れた女の子達の声援。
何人かの親子はその場を離れ、ステージ脇のスタッフが青い顔して電話をしている、通報だろう。避難誘導に頭が回らない程、混乱してる。
あれ?いつの間にかウチの姉と兄がいない、
視線をステージに戻すと、新たなショーが始まっていた。
まず右側に、さっきまで人質だったヒロインが仲間の元に戻され、刃のしまわれたカッターを
持ち、腰を抜かしている。
中央、さっきまでフードで隠していた大きな獣耳を出した姉さんが、腰に手を当て、仁王立ち。
左、テイちゃん(兄)が、さっきまで暴漢だった
オッサンを人質に取り、隠していた長い尻尾を
出して、鞭の様に床をパァンっ。
え?テイちゃん悪役なの?
『しょの手をぱなしぇい!』
マイクにより、大音量で響く姉さんの声。
「がんばれニャンコおね~さ~ん」目の前の奇妙なリアルを素直に受け入れた女の子達。
人質のオッサンはポカーン。
スタッフもポカーン。
笑顔のヒロインも微動だにしない。
『オラぬテイちゃんぬ、手をじゃすとわ…!』
いやいやキャラ設定どうなってんの?
『こにょ……じょろぼぅ猫!!』
ドロドロドラマの観すぎです。
姉さんは軽く飛び上がり、斜めに一回転した後、テイちゃんが抱える人質へキックを繰り出した。鮮やかにかわして、ステージ中央に来たテイちゃん、オッサンをお姫様抱っこして、見つめている。
オッサンは完全に乙女の顔になっていた。
気持ち解るよ、テイちゃんに囚われたら、
オレもそうなるよ…。
テイちゃんは、オッサンをその場に降ろし、寝かせると、両手をその辺の紐で軽く縛り、その手を両手で包んで『もう、こんなことしないでね』といったニュアンスで優しく頬擦りをした。
『こにょ!うわきゅもにょぉぉぉ!!』
拳を突きだし迫る姉、当たったフリして場外に跳んでったテイちゃん。
「わぁぁぁ~~~☆」これで良いのか拍手喝采。
警察官が到着、と同時に姉も跳んでった。
数秒後、獣耳と尻尾を隠し、何食わぬ顔で、
席に帰って来た、姉と兄。
「お帰り…すごい盛り上がったね」
「じゃろ?オラどテイちゃんにかがるば、
こんにゃもんよっ」
テイちゃんも、とっても楽しそうだ。
オレ達、いたって善良な、
モンスター姉弟です☆
…ものにもよるかもだけど。
たまに出てくる『今日の心模様』というテーマ
どうゆう法則で出てくるのでしょうか?
バグではないかと、不安になっております。
自分の言葉に違和感を覚える私は、
キャラを使い、小説(と呼べるのか謎)を
書かせて頂いております。
文才がないであろう私の文が、
皆様の高品質な美文の中に紛れ、
異物感を、放っていることに、
申し訳なく思ってはおります。
♡を推してくれた方、
この場を借りて、お礼を言わせて下さい
こんな風にしか書けない私の文に、
心を寄せて頂き、本当に本当に
ありがとう御座います!
宜しければ、これからも、
ネイさん、テイちゃん、マーくん(←末っ子)を
どうぞ宜しくお願い申し上げます*
モンブラコン*
~~~~~~~『たとえ間違いだったとしても』
小学生の頃、漢字の小テストで、5回連続0点を取ったことがあったなぁ。
帰り道、村に繋がる山道の入り口で、0点の答案用紙を眺める、ランドセルを背負うボク、
モンスター姉弟、末っ子。
流石に5回連続となると、子供ながら、自分に不信感を抱く訳で…。
「勉強…したのになぁ…ん?したっけ?勉強…」
「をやぁ~クショボーズぅやっつまったなぁ」
姉さんが迎えに来た。
「テイちゃんぬ、怒らりるかもにゃぁ」
「テイちゃんが怒る訳ないじゃん」
「いぐらテイちゃんでぃもにゃ、おみゃぁの
為にゃら、こごろさ、をにぬするこどもあんで」
ボクの為に、ボクに嫌われる事も覚悟して、
ボクを怒る…。それはありうることかも。
半泣きで帰宅したボク。
夕飯作りの手を止めて、エプロンで手を拭きながら玄関で出迎えてくれたテイちゃんに、震える小さな腕を精一杯伸ばし、0点用紙を差し出す。
テイちゃんはボクを片手で抱き上げると、もう片方の手を使い、こう伝えてきた。
『5回もって、びっくりしたね、不安になったよね、大丈夫大丈夫、オヤツ食べて忘れちゃお』
えげつない優しさです。逆に大泣きです。
誰だよ怒るとか言ったの。
まぁ、姉さんは姉さんなりに、ボクを思ってくれているとは思うんだけど。
「テイちゃん、ちゅぎ、オラ抱っこでべ」
前言撤回。
モンブラコン*
~~~~~~~~~~~~~『雫』
……ツタンッ…タタン…。
「古い家だからねぇ…」
我が家の雨漏りの音です。
オレ達、怪物姉弟の住む村の家は、9割が
古民家で、雨漏りは珍しくはない事だ。
滴る場所にバケツを置き、濡れた床を一緒に
拭いていたテイちゃん(兄)が、染みた天井を見上げて、考え事をしている。もしや、
「建て替え…とか考えてる?」
テイちゃんは胸の辺りを両手でポンポンとしたりして、『思い入れがあるからなぁ』という
ジェスチャーをした。
「オレも~」
そう応えたら、テイちゃんはニ~っと笑った。
何て事ない日常が好き。
それを共感し合える人と過ごせる日常が。
「オラも~」
はいはい、姉さんもね。