『星に願って』
乞巧奠とかキリスト教とか
由来はいろいろあるけれど
私がママに聞いたのは
人は死んだら星になる
がんばる姿を見てるから
願いを叶えてくれるの⋯と
星に願って何になる?
大人になればわかるはず
星に願って何になる?
それでも願ってしまう意味
人は孤独で弱いから
藁にもすがってしまうのか
それは自分と約束か
人の心が神なのか
『君の背中』
わたしは人の顔が好き
百面相で楽しくて
写真もいつもドアップで
シワも毛穴も心まで
あなたは背中ばかり撮る
後ろ姿が好きと言う
作り笑いをされるから
人の自然を、見るためと⋯
わたしはいつも寂しくて
群れを探して生きていた
一人どこでも行けそうな
強いあなたに時めいた
「君の背中はそうじゃない」
翼広げているよって
坂を駆け下り飛びなって
背中叩いてくれた人
あなたの背中見ていると
大きな空に見えてくる
誰も背中に隠すんだ
本当の自分の、その素顔
『遠く…』
薔薇色に変えた世界がいつか
窮屈な牢になっていた
あなたのためにとがんばることが
幸せじゃなくなっていた
同じ映画の場面で
同じ漫才のギャグで
同じ料理の味で
盛り上がった時間さえ
いまは、無い
愛しているって凍らせて
冷凍庫にはいっぱいだけど
解凍したって戻らない
あの日のようには笑えない
抱いて、キスして、抱き合って
まるで、ぬけがら、ぬいぐるみ
こんな、近くに、いるのに
あなたが、遠く…、遠く…、遠く…、
題名『車窓』
(お題・終わりなき旅)
それは鈍行列車の向かい合わせの席の窓。
持ち上げたいけど重すぎて、母に頼んで窓を半分開けてもらう。すると、扇風機の強より強い風が僕の顔や頭をぐちゃぐちゃに撫で回して吹きつけ続ける。
少し顔を窓から離し車窓を眺める。
山と田んぼが繰り返し、草のような青臭さも感じる。
少し住宅街を通ると、砂や煙の匂いもした。
河川の鉄橋や海の側を走れば、水や潮の匂いもした。
ガタンガタン、コトコトコトコ、ガシャーン、ぷしゅー。
車掌さんのアナウンスも聞こえる。
後ろの席からみかんの匂いがしてきたり、スルメイカの匂いやビールの匂いがすることもあった。
僕の幼い頃の話で、最近はよくこの光景を夢の中で何度も見ている。
4人座れる席には両親と姉と僕だ。
夢の中で何度も母に何処に行くのか聞くんだけれど母は笑って答えない。
あれは田舎の祖父母の家に行こうとしていたはずだった。お盆で親族が集まることになっていた。だからお土産も買ってたくさん持っていた。
終わりなき旅。
僕は今でもあの列車から降りたくないんだ。
人が死ぬこともおとぎ話のように思っていた。
だけど、あの直後から立て続けにみんな亡くなっていった。
僕は受け止めきれず学校も行けなくなった。
心を閉ざした。
暗闇の世界で生きていた僕が、夢とはいえ列車に乗っているのは凄い進歩かもしれない。
それが生きる旅なのか、死ぬ旅なのか分からない。
でも誰の人生でも同じなんじゃないかな。
漠然と列車に乗って車窓を眺める。
気づけば乗客はどんどん入れ替わっている。
もしかしたら家族も入れ替わっている。
降車すれば死ねる。
だけどまだ、僕は次の景色が見たいんだ。
降りる理由も見つからない。
僕は今夜も夢を見る。
題名『最終回』
(裏テーマ・ごめんね)
そろそろ最終回。
ソンジェ背負って走れ…も終わった。
私も卒業かな?
ここは狭すぎて窮屈になりました。
手探りで書き始めたスタート地点。大切な場所なので、これからも気が向いたら書きたい。
詩はまだ続けたい。
小説は場所を移します。
誰もいないと思いますが、
もしも私の作品を読んでくれている人がいたなら、感謝しかありません。
「ごめんね、さようなら」
新月下旅舟。(つきした、りょしゅう)
しばらくは、この名前で頑張ります。