『そっと伝えたい』
そっと伝えたい
君がどんなにブスなのか
作る料理が不味いのか
口の悪さは天下人
嘆く、遥かにバカなのか
そっと伝えたい
君は醜い性格で
夢はすべてに嫌われて
何の才能無いことや
恋も続かず孤独だ⋯と
だけど伝えたい
君は変わらず生きてくれ
今の自分を信じろと
いつか出会える人のこと
めぐる運命、夢の果て
だけど伝えたい
君をそのまま愛してる
すべてくるめて魅力だと
いつか思いを伝えたい
そっと寄り添う、ネコのように
『ココロ』
コわしたいの 固い扉
コっぱみじん 爆薬しかける?
ロマンティック ネコにあげて⋯
コ宵、きっと 落としたげる
コとばなんせ まやかしだわ
ニヒルなんて 時代劇よ
アつい思い? それは執着
ラくにしてて はじめたげる
ズさんな未来も ちょっと変えれば
ホしくずのように 夜空を彩る
ン?んってとぼけて 逃げてみたって
キみはすでに 恋してる
ウイルスもあくびも 伝染するの
ココロに着火 僕に着火
何にもしないよ 見てればいいの
ホンキのココロを 見せ合おう
『星に願って』
乞巧奠とかキリスト教とか
由来はいろいろあるけれど
私がママに聞いたのは
人は死んだら星になる
がんばる姿を見てるから
願いを叶えてくれるの⋯と
星に願って何になる?
大人になればわかるはず
星に願って何になる?
それでも願ってしまう意味
人は孤独で弱いから
藁にもすがってしまうのか
それは自分と約束か
人の心が神なのか
『君の背中』
わたしは人の顔が好き
百面相で楽しくて
写真もいつもドアップで
シワも毛穴も心まで
あなたは背中ばかり撮る
後ろ姿が好きと言う
作り笑いをされるから
人の自然を、見るためと⋯
わたしはいつも寂しくて
群れを探して生きていた
一人どこでも行けそうな
強いあなたに時めいた
「君の背中はそうじゃない」
翼広げているよって
坂を駆け下り飛びなって
背中叩いてくれた人
あなたの背中見ていると
大きな空に見えてくる
誰も背中に隠すんだ
本当の自分の、その素顔
『遠く…』
薔薇色に変えた世界がいつか
窮屈な牢になっていた
あなたのためにとがんばることが
幸せじゃなくなっていた
同じ映画の場面で
同じ漫才のギャグで
同じ料理の味で
盛り上がった時間さえ
いまは、無い
愛しているって凍らせて
冷凍庫にはいっぱいだけど
解凍したって戻らない
あの日のようには笑えない
抱いて、キスして、抱き合って
まるで、ぬけがら、ぬいぐるみ
こんな、近くに、いるのに
あなたが、遠く…、遠く…、遠く…、