やなまか

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11/3/2023, 11:51:57 AM

オレの親を見たことがある友人は、しきりに似てる似てると言う。
ぼんやりした時の顔がそっくりだと。
信じられない。
「似てるか分からねぇ」
「そうか?」
友人はニヤニヤしなら続けて言った。
「それよりメシどーする」
んー…。がっつり食べたい気がするな。こう、秋らしいやつ。
「やっべ。似すぎ」
悪友は腹を抱えて笑い出した。

11/2/2023, 1:31:31 PM


泣いていい。怒ってもいい。きっと君が一番傷ついているんだから
甘やかしてあげてね。

乾燥したカサカサした手が、そっと瞼を閉じてくる。
闇が自分を見ている。自分も闇を見ているのだから何も怖くない。

11/2/2023, 12:57:36 AM


壊れ物のように触れてくれる指が
「いや」といえば必ず止まってくれる優しさがもどかしい時もある。

私だってあなたにしてあげたい。
あなたのことを
「教えて」
と言ったら幻滅されますか。
おかしくなりそうなほど愛したい。
「知って」
と言ったら幻滅されてしまいますか。
誰よりも深い所で繋がりたい。

もっとあなたに私自身を刻み込みたいんです。
明日をわすれるほど夢中になって欲しいんです。




10/31/2023, 2:06:50 PM

黒髪をたぐり、現れた素肌にキスをする。
くすぐったいようで小鳥のような声が上がった。

彼女が珍しくわがままを言い、暖炉の前で抱き合っている。夜明けまでいろいろな話をした。
特に何もしない。
兄弟の話、親の話、友人の話。
他愛のない話の中で彼女がふいに「ほんとに?」と言えば「本当だ」と。昼間より低い声が出て地に落ちていく。滑らかな肌の曲線を確かめて存在を確認する。
可愛い。
「もう一眠りしろよ」
仕事までまだ時間はある。
うん、と鼻に掛かった声。
本当に可愛いな。
信頼してくれたのか、ゆるりと穏やかな寝息に変化していく。少し寂しい。起してしまいたいけど我慢だ。

10/30/2023, 11:17:28 AM

あぐらを掻いた夫が自分の手のひらをじっと見ていた。

ある晴れた午後。子供達も全員公園に遊びに行ってしまった。私はお昼ごはんの片付けの手を止めて夫の側にそっと近寄っていく。

「あんなに小さかったのになぁ…」
優しい慈愛に満ちた独り言に口を挟めない。
「産まれたばっかは、手もこーんな小さくて…泣いてばっかで…色々あったはずなのに」
子供達の赤ちゃんの頃を思い出しているのか、どんぐりのようなサイズを表現してみせる。
「朝まで寝なくて、親子で泣いちゃったりしましたね」
「しょっちゅうだったな。夜中に散歩したりな」
そうでしたね。

いつの間にか大きくなって、手も掛からなくなってきた。
昔に戻って、小さな子供達に会いたくなる。懐かしく思えるほど時が経ったのか、寂しく思えるほど余裕ができたのか…。
遠くから子供達の笑い声が聞こえてきたような気がした。

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