やなまか

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黒髪をたぐり、現れた素肌にキスをする。
くすぐったいようで小鳥のような声が上がった。

彼女が珍しくわがままを言い、暖炉の前で抱き合っている。夜明けまでいろいろな話をした。
特に何もしない。
兄弟の話、親の話、友人の話。
他愛のない話の中で彼女がふいに「ほんとに?」と言えば「本当だ」と。昼間より低い声が出て地に落ちていく。滑らかな肌の曲線を確かめて存在を確認する。
可愛い。
「もう一眠りしろよ」
仕事までまだ時間はある。
うん、と鼻に掛かった声。
本当に可愛いな。
信頼してくれたのか、ゆるりと穏やかな寝息に変化していく。少し寂しい。起してしまいたいけど我慢だ。

10/31/2023, 2:06:50 PM