やなまか

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あぐらを掻いた夫が自分の手のひらをじっと見ていた。

ある晴れた午後。子供達も全員公園に遊びに行ってしまった。私はお昼ごはんの片付けの手を止めて夫の側にそっと近寄っていく。

「あんなに小さかったのになぁ…」
優しい慈愛に満ちた独り言に口を挟めない。
「産まれたばっかは、手もこーんな小さくて…泣いてばっかで…色々あったはずなのに」
子供達の赤ちゃんの頃を思い出しているのか、どんぐりのようなサイズを表現してみせる。
「朝まで寝なくて、親子で泣いちゃったりしましたね」
「しょっちゅうだったな。夜中に散歩したりな」
そうでしたね。

いつの間にか大きくなって、手も掛からなくなってきた。
昔に戻って、小さな子供達に会いたくなる。懐かしく思えるほど時が経ったのか、寂しく思えるほど余裕ができたのか…。
遠くから子供達の笑い声が聞こえてきたような気がした。

10/30/2023, 11:17:28 AM