やなまか

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10/21/2023, 10:12:32 AM

あまりに可愛い声を上げるから弱いところを攻めたくなる。
滑らかな白い肌を荒らしてみたくてきつくキスをして跡をつける。
明日怒られるかも。
でもなぁ。「すき」と言いながらキスをねだる顔がもう、掻きむしりたくなるほど可愛いくて。

10/21/2023, 9:42:22 AM

怖がらせないように、ほほを支えて、寄せる力さえ優しい。あなたはいつもそうね。
そのくせ余裕のない顔で、有無を言わせず口付けをしてくれるから安心するの。愛されてる。
私も愛してるよ。

10/19/2023, 1:48:25 PM


父親は昔ながらの人だった。母は居ない。だけど子供は女1人の男4人の大家族だった。

「図体ばかりでかくても子供だな。お前はまだ中学生なんだぞ。命を預かることをなんだと思ってるんだ! 帰ってきたとたんに猫を飼いたいだの世話をするだの…ふざけておるのか!」
父には手を上げられたことはないが、厳しくしつけられた。
兄弟も誰も父親には歯向かわなかったし、全員食いっぱぐれることなく育ててくれてた。だから末っ子のヒムも、絨毯の上で正座をして父の言葉に従った。昨日までは。
「でもよ…親父」
「猫も杓子もない!」
「その猫なんだけどよ」
1人掛けのソファにふんぞり反る父の膝には、その噂の猫が鎮座してあくびをしていた。

「飼わんとは言っとらん!!」
父はすでに子猫にめろめろだった。

姉は姉で「お父様。猫用のゲージ設置致しました」完璧に猫のスペースを管理し、
兄は兄で「猫用のご飯を飼ってきたぞヒム。写真みせたら2ヶ月ぐらいだろうと言うことだったので柔らかい物を勧められた。チュールも買った」得意の俊足を生かしてスーパーまでひとっぱしりしてきてくれた。

「なんなんこの家!!!」
ヒムは温かすぎる我が家に涙して顔を覆った。


10/18/2023, 2:32:39 AM

人の命の輝きとはなぜああも圧倒的なのか。
人が光に飲まれる光景と、周囲を吹き飛ばす爆発のような衝撃波。生涯忘れたくても忘れられないだろう。
「いい天気だ」
陽気なヒムが気分を紛らわそうと話しかけてくれる。
メルルは隣で座り込み静かに聞いていた。
「なぁメルル。オレは世界一丈夫な素材ときてる。どんな大岩でもどんな呪文でも…いやメドローアは勘弁だが。人間ほどダメージを食らわねぇぜ」
それはメルルも分かっている。分かっているのに。過度に心配してしまって申し訳なく黙っていると…彼が太陽のように笑うのだ。
「それでも無茶するなと…毎回叱ってくれや。オレはもう1人の身体じゃねぇから。熱くなるとついつい忘れちまう」
「はい」
「あと。信頼してくれよな」
信頼…。メルルは大きな瞳を上げる。
こんなに真っ直ぐに人間のことを愛してくれる人を私は知らない。メルルはにっこりと笑う。
「してます。世界一」
すげぇな、世界一かよ。彼は子供のようにはにかむ。
「急ぐぞ。昼飯までには次の町にいこうぜ」
太陽の光を反射する手が差し出される。手を添えると力強くぐいと引っ張りあげてくれた。

10/16/2023, 7:28:13 PM

雨上がりの渓谷で、メルルの回復魔法の柔らかい光が辺りを照らしていた。
ヒムのひび割れた腕を治している。
「ポップやマァムのとは違うな」
メルルが目線だけ上げてきた。可愛い眉が寄せられている。ヒムの腕はむくむくとスライムのように治っていった。
「ポップさんやマァムさんに治して欲しかったらそうしてください」
「なんか怒ってる?」
「怒ってます」
「なんでだよ」
なんでだと言ってからなんとなく分かった。別の人の名前を出したのが悪かったのか。
「違います!無茶しないで欲しかったんです!」
こちらの心を読んだように叫ぶ。もしくは本当に読んだのか…
「しない訳にいくか。何のためにオレが居るんだよ」
傍には落石が転がっていた。メルルに当たっていたら命はなかった。彼女を庇うようにヒムが飛び出したのだ。
ヒムは泣き出した彼女に戸惑う。目の前で命を投げ出されたようで恐ろしかったのだ。治療の光が止む。
「もっと次からは別ルート行こうな」
「はい」
涙を恥じて目元を拭う彼女はもうてきぱきと散らばる荷物を片付け始めていた。

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