やなまか

Open App

人の命の輝きとはなぜああも圧倒的なのか。
人が光に飲まれる光景と、周囲を吹き飛ばす爆発のような衝撃波。生涯忘れたくても忘れられないだろう。
「いい天気だ」
陽気なヒムが気分を紛らわそうと話しかけてくれる。
メルルは隣で座り込み静かに聞いていた。
「なぁメルル。オレは世界一丈夫な素材ときてる。どんな大岩でもどんな呪文でも…いやメドローアは勘弁だが。人間ほどダメージを食らわねぇぜ」
それはメルルも分かっている。分かっているのに。過度に心配してしまって申し訳なく黙っていると…彼が太陽のように笑うのだ。
「それでも無茶するなと…毎回叱ってくれや。オレはもう1人の身体じゃねぇから。熱くなるとついつい忘れちまう」
「はい」
「あと。信頼してくれよな」
信頼…。メルルは大きな瞳を上げる。
こんなに真っ直ぐに人間のことを愛してくれる人を私は知らない。メルルはにっこりと笑う。
「してます。世界一」
すげぇな、世界一かよ。彼は子供のようにはにかむ。
「急ぐぞ。昼飯までには次の町にいこうぜ」
太陽の光を反射する手が差し出される。手を添えると力強くぐいと引っ張りあげてくれた。

10/18/2023, 2:32:39 AM