「未知の交差点」
たまに思うことがある。
もしあの日君と出会わなかったら俺はどうなっていただろうかと。
光の雲の上のような存在だと思ってた君にも闇があって、どんなものも自分と大して変わらないことを知った。
それから他者が未知の存在だと思わなくなったのに、そんなことも知らず1人で過ごしているのだろうか。
それとも君の代わりがいるというのだろうか。
「ただひとりの君へ」
いつも君は俺には他の誰かの方がお似合いだと言うけれど、他の誰かなんて言う有象無象じゃなくてただ君という存在がいいと思う。
「快晴」
曇りひとつない綺麗な青空。
休日にどこかへ出かけるならピッタリの天気である。
「「…」」
そう思う人が多ければ多いほど道路は渋滞する。
車のハンドルを握る手が無意識にイラつきを現す。
高速道路とは何だったのかという程の渋滞のど真ん中にいるのである。
「これ、下道で行った方がはやくないか…?」
「そうだよね…次で降りようか」
「泣かないよ」
君がいなくても泣かないよ、1人で生きていける。
だけど何故だろう。
世界ってこんなにもつまらないものだっけ。
「ずっと隣で」
ずっと隣で君を見ていたい、君と一緒に過ごしたい、君を幸せにしたい……他にもたくさん理由はあるけれど。
「―――結婚しよう」
そう言って彼女の前にひざまづいて、婚約指輪を差し出す。
覚悟は出来ていたハズなのに返答が怖くて君の方を向くことができない。
呼吸がはやくなる、無言の彼女が怖い。
「…うん」
ギリギリ聞こえるような声量だったけど、確かに聞こえたその声に勢いよく彼女の方に顔を向ける。
すると、真っ赤な顔で涙目になった彼女と目が合った。
あまりの可愛さに思わず抱きしめて指輪を左の薬指にはめてありがとうとキスをすると、彼女は俺の胸に顔を押し付けて本格的に泣き出してしまった。
「…ガノ、死ぬまでずっと隣に居てね」
「ああ、キティア、お前もずっと一緒にいてくれよ」