月下真江

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8/22/2024, 12:08:38 PM

「先生、人間って誰しもが裏の顔を持っているんでしょうか?」

「あぁ?持ってんじゃねぇの?」

この、私の質問に対して雑な答えをした、榎先生は椅子に、めいいっぱい背もたれに体重をかけながら座っていた。

「ねぇ、深空くんは、どう思う?」

真面目にプリントを解いていた、深空くんに聞いてみる。

深空くんは、成績が悪くないのに、毎日補習に来ている。理由を聞いても「ここでしか、学べないことがある」としか答えてくれない、謎少年だ。

「ある人はあるけど..全員あるわけじゃ、ないんじゃな
い?」

「そうだよねぇ」

深空くんは、ペンを止める。

「どうしていきなり?」

深空くんは、首を傾げて聞いてきた。

「うーん..言いたくない」

私が答えると、深空くんは、困った顔をした。

「表がありゃ、裏もある。そんなの当然だろ?いい子が全員にいい子してる訳ないんだよ。俺だって校長の前だったら大人しくしてるぞ」

「榎さんは、ゴマすってるだけでしょ?」

深空くんは、辛辣に言う。

「あぁ?」

「深空くんに、裏ってあるの?」

私は、気になって聞いてみた。裏があったとしても答えてくれるわけないのに。

「どうなのかな..」

深空くんは、少し照れくさそうに笑った。

「.....」

榎さんは、眠そうにこっちを見てる。本当にその人は教師なのか、いつも疑問を抱く。

「たとえ、裏があってもよ、多分、そいつを嫌いにはなれねぇよ。表の部分と裏の部分。どっちも立派な本人だ。片方でも本人のこと、知っちまったんだ。だから、裏があっても、捨てることは出来ねーよ」

「.....あっそ」

「あ?なんだよ」

「私、もう帰るね」

「プリントは?終わったのか?」

「いや全然」

「なら帰るんじゃねぇ!」




「..っ結局帰りやがった..もういい、続きは、明日やるか....おい深空、もう帰るぞ」

「なぁ、榎さん。なんで彼女は、表と裏の話をしたんでしょうか?」

「知らねぇよ。そういうお年頃なんじゃねーの?。お前もあったろ?」

「......気づいたんですかね?」

「何が?」

「僕が前科持ちだってこと」

「....なわけねーだろ。」

例え、気づかれたとしても、あいつは、お前を軽蔑とかしねーよ。「今」表で、頑張ってんだから








ってそういう話じゃねぇか

8/18/2024, 11:00:54 AM

「なぁ、ーーくん。君は自分の顔を見たことあるかい?」

友人は呟く。

「そりゃあ、当然、見たことあるさ」

僕は当然の返しをする。

「どうして自分の顔を知ったんだ?」

「それは、鏡を見れば一瞬さ」

「鏡がうつすのは、君の顔だけ」

「あたりまえだろ」

「そうさ。当たり前さ。でもね、自分の内面をうつすものは、この世に存在しないのさ。」

「君はさっきから何が言いたいんだい?」

「要するに、鏡のように、正確に自分をそのままうつすものがない限り、自分の内面も、自分では理解出来ていないのかもしれないな。」

8/17/2024, 12:46:26 PM

「昔、僕が、中学生の時だね。僕をいじめる男の子がいたんだ。」

これは、雑談仲間の彼から聞いた話だ。

「教科書ビリビリにされたり、周りに変な噂話を吹き込んだり、今考えれば、結構なことやられてたなぁ〜って」

彼は、笑いながら話した。まるで、大切な思い出を語るようだった。

「でもね、なぜか分からないけど。彼が僕をいじめればいじめるほど、僕は人との関わり方、というやつを知っていったんだ」

「どうして僕をいじめるのかな?なぜいじめっこは、周りから人気なのかな?僕と彼は何が違うのかな? 人生で1番悩んだよ」

私は、「辛かったのね」と呟いた。かける言葉が見つからなかった。

しかし彼は、大声で笑った。

「全く辛くないさ。感謝もしてる。実は、そのいじめっこの彼とは、今も大親友なんだ。2人で遊ぶことだってたくさんある」

「僕は彼と仲良くするには、どうしたらいいか考えた。そして、行動した。そしたら仲良くなれた。周りの人間とどう関わっていけばいいのかも、理解することが出来た。」


「いじめから、始まった話だけど、僕にとって1番大切で、絶対に捨てたくない物なんだ。彼には感謝してるよ」

8/13/2024, 11:30:26 AM

「そろそろ取り替えないとね」
そう言った君は、胸から心を取りだした。

「きついのか?」

「うん。なかなか」

「そうか..無理しない方がいいな」

「大丈夫だよ!心も取り替えたし!もう辛くない!」

君は、笑った。もう一度笑って欲しいな


こんな風に「心」を部品として交換できたら。君はまだ生きてたのかな

8/11/2024, 12:26:18 PM

彼女と歩いていると、いきなり彼女の麦わら帽子が宙を浮いた。

風が強かった。デートの日としては、少し気分が下がったけど、彼女と一緒に歩くと、気分なんかすぐに元通りになった。

車に注意しないとね。と彼女は可愛い笑顔で言った。


僕は、彼女が大好きだ。

もっとデートしたいな




でももう叶わないのかな



彼女が被っていた麦わら帽子が宙を浮いた。


車に跳ねられ宙に浮いた

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