私達はそんなに強くないから。
すぐ泣くし、すぐ落ち込むし、すぐ怒る。
でも、全部誰かに知られることなくひっそりとただただ
ひっそりと涙を枯らして暮らしてる。
たとえば誰かがこの乾いた瞳を見つけても、
決して期待してはいけないの。
喉が渇いて、目の前に蛇口があってなのに故障で
水が出なくて
そんな出ない蛇口を捻る時ほど辛く苦しい時は無いから
だから期待なんてしちゃいけないの。
枯れた涙を流すのは何より辛いから。
ただ、もし、私達に日が当たるなら
走ってでもつかみに行きましょう。
その光を。
ひとりじゃないから怖くないよ。
「さぁ行こう」
動かなくなった、あなたの頬にそっと触れて
もう、話すことも笑うことも出来なくなった
あなたの髪を撫でて、
思ったより、つめたくて、重くなった
足を持って、
私にかけた愛情をこぼすことなく
あなたへの愛に変えて
全身に触れて
私の最後のエールを送る
御伽噺でも、信じていればきっとある
空の上が。
あなたは素敵な人だったから、
きっと上に逝く
これが最期じゃないと信じているから
だから
「またね!」
あなたとひと時のお別れを。
グッと噛み締めた喉の奥の
「さようなら」は、絶対に言わない。
春爛漫
春と言えば、出会いと別れの季節。
私はね、卒業とか入学とかそういう意味だと思ってた。
それなのに、永遠の別れを告げた貴方。
冬が長引いた今年は桜の開花が遅くなって。
本当なら、貴方と花見に行くはずだったのに
どうですか?
そちらは、桜は咲いていますか?
こちらは、まだです。
きっと、景色も心模様も桜が咲くのはしばらく先でしょう。
春爛漫、天真爛漫。
さようなら。またいつか
君と見た景色
思い出は美化されるって言うけどさ、
まさかこんなにとはね。
公園に行った道も、お茶を買った自動販売機
も、全部全部思い出。
もう会えないけどさ。私、貴方の孫になれて
良かった。愛してる。来世でも、また、貴方と同じ景色見せてくれますか?あなたの隣で孫として。
手を繋いで
ねぇ、知ってる?赤ちゃんが生まれた時、
白い色紙にみんなで手のひらの形を残す
でしょ?
あれってね。何世代にもわたってみんなが
健康でいられますように、
仲良く出来ますようにって
手を繋いでるようにする為にやるんだよ。
「え?!そうなんだー!初めて聞いた」
『そりゃそうでしょうね。作り話だもの』
「は?!なんなの、嘘なの?!
信じちゃったじゃん」
『そうよ。嘘。でもね、私思うの。世の中、
全部都合のいい嘘なんだって』
「どういうこと?」
『うーん、今はまだ知らなくていいよ。
ただね、好きだなって思った考え方とか歴史とか、
嘘か本当かなんてそんなに重要じゃないの
よ。
自分の思いに嘘をつかないことが大切なの。』
『だからさ、今話したみんなが手を繋いでるようにするためって話。
もし、あなたが素敵だなって思ったら心のどこかに取っておいて欲しいの。いつかきっと何処がであなたの為になるからね』