絶望の淵に突き落とされた気分だった。
敗者の烙印を押され、一生苦しみながら生きていく人生なんだと、私は勝手に解釈してしまっていた。
ママは一緒に泣いてくれたけど、パパは何時ものパパだった。
3日ほど経った夜の事だった。
突然パパが私を外へと連れ出した。
いや、正確に言うとアイスクリームが私を連れ出した。
10分程車に揺られ、最寄りのコンビニへ。
その駐車場で二人アイスを貪り食べた。
3日振りの世界は3日前と変わらず存在していて、3日振りのアイスクリームは相も変わらず私を夢中にさせた。
「やっぱ、うめーな!ハーゲンダッツのグリーンティーは!」
「いやいや、ミルクが至高でしょ♡」
いつものお決まりのやり取り。
最後の一口というところで、私の涙腺は決壊しポタポタと涙が溢れて止まらなくなってしまった。
「うわっ!外気温-3℃だってよ!こんなにさみー深夜にアイス食べてるなんて俺達ぐらいじゃね?」
そういうや否や、パパは車の窓を全開にして、寝静まった街を「うぉぉぉぉぉぉ」と叫びながら車を走らせた。
突然の出来事に私は泣くのを忘れ呆気にとられていると
パパはニヤッと笑いながら「I SCREAM!」と言ったもんだから、腹を抱えて笑っちゃった。3日振りに。
嗚呼、なるほど。
コレは私への「愛 SCREAM」
何があろうとも何も変わらない。
そんな世界が私にはある。
絶望なんて私の世界には存在しない。
今までも、そしてこれからも。
——— 旅の途中 ———
車を走らせている。
君の住む街まで片道一時間半ほどの道程だ。
遠距離恋愛とまでは行かないけれど、物理的にそれなりの距離は存在するから、それ相応の気持ちの準備は必要となる。
きっかけは昨夜の君の電話。
声のトーンが気になって「なにかあった?」と私。
大丈夫じゃ無い声で、大丈夫と答える君。
ほっとけないでしょ。
毎週末と同じルートだけど、何処か違ってみえるのは、今日が平日だからだろうか。
後10分ほどで終業時間。
何とか間に合った。
すっかり暗くなった街の片隅の駐車場にて、君が現れるのを待っている。ベルガモットの香りを身にまとって。
——— まだ知らない君 ———
時に疎まれ、時に望まれ、時に冷たくあしらわれ、時に強く求められる…私達は表裏一体。互いに強く生きていこ!
日向より愛をこめて
——— 日陰 ———
帽子かぶってお出かけする世界が調度良い。
上半分は無限に広がっていて、何となく邪魔だから帽子のつばで見えなくする方が良い。
四季折々の下半分の美しい世界を、雑踏に紛れ、泣きながら這いずり回りたい。
——— 帽子かぶって ———
家族揃っての夕食は本当に久しぶりだ。
普段は控えているお酒も、この時ばかりは自然と箍が緩む。
最近お酒を嗜むようになった娘も一緒に夜酌。
最近どう?の話の流れから、娘の恋愛事情に発展。
どうやら二人の男性に好意を持たれているらしい。
二人の男性は両者ともに知性が邪魔をして動きが物凄く緩慢だ。時に強引さも必要だと言うのに…呑気なもんだ。
話を聞く限り可哀想だが、娘の牙城は崩せまい。
難しいもんだな、恋愛というのは。
押しが弱けりゃ物足りなさを与えてしまうし、強引に推し進めれば引いてしまう。正に、寄せては返す波のよう。
ほっぺを桃色に染めたペリカンが、眼前の餌と酒をたらふく頬張り恋愛を語っている。
世の男共よ!
自信と勇気を持つのだ!
相手を楼閣だと勝手に己で解釈してはならない!
足元を見てごらんよ。
意外に砂の上だったりするから。
——— 小さな勇気 ———