ラフロイグ

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車を走らせている。
君の住む街まで片道一時間半ほどの道程だ。
遠距離恋愛とまでは行かないけれど、物理的にそれなりの距離は存在するから、それ相応の気持ちの準備は必要となる。

きっかけは昨夜の君の電話。
声のトーンが気になって「なにかあった?」と私。
大丈夫じゃ無い声で、大丈夫と答える君。
ほっとけないでしょ。

毎週末と同じルートだけど、何処か違ってみえるのは、今日が平日だからだろうか。

後10分ほどで終業時間。
何とか間に合った。

すっかり暗くなった街の片隅の駐車場にて、君が現れるのを待っている。ベルガモットの香りを身にまとって。


——— まだ知らない君 ———

1/30/2025, 2:09:12 PM