カーテン 夏の匂い クリスタル です。
カーテン
「良い天気だな」
窓を開けると、入ってくる風にカーテンがふわふわと揺れる。
「風が気持ちいいな」
うーんと伸びをし、家事をするためその場を離れた。
「ふう、終わった」
家事を終わらせ戻ってくると、風に揺れるカーテンでキミが遊んでいた。
「ふふっ、楽しそう」
カーテンに向かってジャンプしたり、カーテンを追いかけたりしている。
「楽しい?」
近づいて声をかけると
「ニャー」
キミは振り向き声を上げた。…と思ったら、
「ニャーニャー、ニャーニャー」
何度もニャーニャーと鳴く。
「ん?どうかしたの?」
さらに近づきよく見てみると、キミはカーテンで遊んでいたのではなく、キミの爪がカーテンに引っかかり、困っていたのでした。
夏の匂い
「今度の休み、海に行かない?」
8月に入り、毎日の暑さで疲れてきた頃、友だちから連絡が入る。
「いいね、行こう行こう」
こうして連絡が来たその週末、友だちと一緒に俺は海に行くことになった。
「すごい人だな」
「そうだな。夏休みだしな」
海に着くと、砂浜は遊びに来た人ですでにいっぱいになっている。
「よし、俺たちも海に入るぞ」
「おお」
なので、遊んでいる人の邪魔にならないように、俺たちも海に入った。
その後は、海の家で食べたり、砂浜でのんびりしたり、また海に入ったり。心ゆくまで海を堪能し、帰る間際には、星が輝く空の下で、少しだけ花火もした。
「楽しかった~。誘ってくれてありがとう」
家路をたどりながらそう言うと
「男2人だったけどな。また行こうぜ」
友だちはニッと笑う。
友だちが誘ってくれたおかげで、仕事ばかりで感じられなかった夏の匂いを感じることができ、楽しい1日を過ごせたのだった。
クリスタル
氷のように、透き通ったクリスタル。
光を反射し、キラキラと輝く。
「キレイ」
一点の曇りなく、手に取ってみると透明さが際立っている。
「私もこんなふうに…」
心が透明だったら、嘘偽りのない気持ちを見せられるのに。
クリスタルを手にしたまま、好きな人に素直な気持ちが伝わるようにと、願うのだった。
まだ見ぬ世界へ! 夏の気配 青く深く です
まだ見ぬ世界へ!
「よし、行こう」
「うん」
少しの緊張を振り払い、キミの手を取り一歩を踏み出す。
今日は僕たちの結婚式。
キミと2人で、まだ見ぬ世界へ歩き始めるための、門出の日。
この先、何があるかはわからない。でも
「2人で幸せになろう」
「はい」
キミが笑ってくれるなら、僕たちは大丈夫。そう思えるのだった。
夏の気配
日ごとに暑さが増し、だんだんと近づく夏の気配。
「また今年も暑いのかなあ」
「イヤだなぁ。外、出たくない」
街中を歩いていたとき聞こえてきた会話に
「確かにそうだよな」
俺は激しく同意する。けどさ
「今年の夏は今年だけ。今年の夏の思い出が、暑くてイヤだった。だけじゃつまんねえだろ」
とも思う。
「今年の夏は、海のレジャーを楽しむか」
イヤと言うほど照りつけてくる太陽に
「暑さになんて負けてやんねえから」
そんな思いを込め、不敵に笑ってみせたのだった。
青く深く
どこまでも青く深く広がる海。
いつ来ても、穏やかに僕を迎えてくれる。
朝焼けの海も、水面がキラキラ輝く日中も、星がきらめき、さざ波が心地良く聞こえる夜も、どんな姿でも海を見ると気持ちが落ち着く。
「僕も、キミにとって海のような存在になれたらいいな」
キミが僕と一緒にいるとき、穏やかな気持ちになれるような存在に。
寄せては返す波を見ながら、そう願うのだった。
空はこんなにも 小さな愛 最後の声 です。
まだ書けていないお題は、後日、書きます。
よろしくお願いします。
空はこんなにも
空はこんなにも青く、太陽は輝いているのに、どうして仕事なんてしなきゃいけないんだろう。
「はぁ~」
ため息を吐きながら会社に向かっていると
「おはよう」
背中をバシッと叩かれる。
「痛えなぁ。朝から何すんだよ」
叩いた人物をギロリと睨むと
「背中を丸めて歩いてるから、伸ばしてあげたんじゃない」
叩いた本人、会社の同僚は、ケラケラと笑っている。
「仕方ねえだろ。こんなに天気が良いのに仕事か。と思ったら、行くのがイヤになったんだから」
思ったことを口にすると
「…そっか。なら、仕事休みなよ」
「え?」
まさかそんなことを言われるとは思わず、素っ頓狂な声が出る。
「天気が良い日、毎回そう思うわけじゃないだろ?」
「ああ」
「ならきっと、心が疲れてるんだよ」
「は?」
「そういう時にムリすると、仕事自体がイヤになるかもしれない。ストレスも溜まってるかもしれないし、気分転換してきな」
ニコッと微笑まれ
「わかった、そうする」
なぜか自然とそう言っていた。
「じゃあな」
仕事に向かう同僚の背中を見送り、俺は家へと戻るのだった。
小さな愛
小さな愛をたくさん集めて、大きな花束にしてキミにプレゼントしたら、僕の想いは伝わるかな。
日頃、僕の妻として僕を支えてくれているキミ。
ありがとう。と言葉にすればキミは微笑んでくれるけど、それだけじゃ僕は足りないから。
いつもありがとう。
愛してるよ。
僕の想いを届けられるように、感謝と愛を小さな愛の形にして、キミにたくさん届けます。
最後の声
僕の耳に届いた、キミの最後の声は
「頑張れ」
だった。
慣れ親しんだ場所から、夢を叶えるために引っ越す僕。
淋しくないと言ったら嘘になるけれど、夢を叶えるため。と気を奮い立たせ前を向いた。
引っ越しの準備をする中で、僕が引っ越しをする。と誰かから聞いたキミが僕を訪ねてきた。
正直、1番会いたくなかった。ただの幼なじみだけれど、キミの1番近くにいる、キミの隣から離れたくなかったし、その場所を誰かに取られたくなかった。だから、キミに会えば、引っ越すことにためらいが出ると思っていた。
けれど、キミの最後の声に背中を押され、夢を叶えてキミに会いに来よう。そう思えた。
必ず夢を叶え、キミに会いに来れるように頑張ろう。そう心に誓い、僕は夢へと歩き出すのだった。
好き、嫌い、 君の背中を追って どこにも行かないで 子供の頃の夢 です
好き、嫌い、
「好き、嫌い、好き、嫌い…」
花びらを1枚ずつ取りながらした花占い。
大人になった今なら、花びらを取っていくのはかわいそう。とか、結果が好き。になったとしても、占いだしなぁ。と思うけど。
でも、占いに頼ってしまうほど、想いは真剣。ってことだよね。
ランドセルを背負ったまま花を持ち、花占いをする小学生を微笑ましく見つめたのだった。
君の背中を追って
「俺が先に行って、お前が来るのを待つ。だから、絶対俺のところに来いよ」
1つ上の先輩。君の背中を追って、卒業式のあと、君がいる場所まで来た。
「お、来たな。待ってたぞ」
君が待つ事務所に入ると、君は俺の手をガシッと握りニカッと笑う。
「俺も、早く来たくてうずうずしてました。今日からよろしくお願いします」
「ああ。こちらこそよろしくな」
俺たち2人から始まる、俺たちの会社。俺は先輩と共に、会社を大きくできるよう、頑張ろうと思うのだった。
どこにも行かないで
「どこにも行かないで」
ベッドで横になるキミのそばを離れるため、腰を浮かせると、キミに手をつかまれる。
「大丈夫。すぐに戻って来るから」
髪をそっと撫でると
「絶対だよ。すぐに戻って来て」
泣き出しそうな目で、キミは僕を見つめる。
お互いの実家から、少し距離のある場所に住んでいる僕たち。結婚してここに住むようになって、慣れてきた今、キミが体調を崩してしまった。
「キミが元気になるまで、ずっとそばにいるよ。だから安心してゆっくり休んで」
掴んでいたキミの手を取り、手の甲にキスをすると
「うん」
キミは微笑み目を閉じたのだった。
子供の頃の夢
自分の子供の頃の夢は、作詞家になること。
中学生くらいに、形にもならない小説のようなものを書いてみたら、意味のわからないものになり、長い文章は自分には書けないんだな。とわかったので、なら、短い文章を。と安易な気持ちで、作詞家になりたい。と思ってました。
夢は叶っていないけれど、書くことは好きなので、偶然出会ったこのアプリを使わせていただいて、書くことを始めました。
これからも、遅れてばかりですが、書くことは続けていきたいです。
届かないのに 糸 雨の香り、涙の跡 です
届かないのに
どうして、僕の願いは届かないのに、君の願いは届いたの?
君よりも、僕の方が、叶えたい気持ちは強いのに、僕には良い知らせは届かない。
「でも、願いが届くまで諦めるものか」
いつか願いは届く。そう信じて、抽選販売の受付をしたのだった。
糸
「運命の赤い糸。ってあると思う?」
映画を見た帰り、カフェで映画の話をしていると、そう聞かれる。
「映画では、赤い糸に導かれ…って言ってたでしょ?実際にあると思う?」
興味津々といった様子で俺を見つめるキミに
「あると思うよ」
間を開けずに、俺はサラッと答えた。
「え?」
俺の返事に驚いたように、キミは目を瞬かせる。
「ん?信じてない。って言うと思った?それとも、考えもせずに答えたから、びっくりした?」
ふふっと笑うと
「ああ、うん。どっちもかな」
キミも、ふふっと笑う。
「俺はさ、俺と関わった人。全員が、運命に導かれて出会った。と思ってるんだ」
「…そうなの?」
「うん。だって、地球上に大勢いる人の中で、俺と関わるんだよ。運命じゃなければ何だろうって。すれ違っただけ。とかなら偶然なんだろうけど」
「ああ、なるほど」
「だから、運命の赤い糸はあると思ってる」
「そっか。ステキな考えだね」
俺の話に微笑むキミに
「ところでさ、その大勢いる人の中で、俺と趣味が一緒で、話が合うキミと、赤い糸で結ばれてるんじゃないか。って俺は思うんだけど、キミはどう思う?」
にこにこ笑って問いかけると、キミは顔を真っ赤に染めるのだった。
雨の香り、涙の跡
「行ってくるね」
「うん、気をつけて」
笑顔で手を振り、半年間の出向に向かうあなたを駅で見送る。
「…帰らないとね」
いつまでも、ここにいても仕方ない。そう思い、家へと歩き出すけれど、これからのことを思うと、自然と涙がこぼれる。
「今は赤ちゃんを預かってもらっているけれど、家に帰ってから、出向が終わるまで、私が1人で赤ちゃんと過ごさないと…」
いや、そんなことじゃダメだ。と、不安を心の奥にしまい込み、涙の跡もそのままに歩いていると、ポツポツと雨が落ちてくる。
「え、雨?」
俯いて歩いていたせいで気づかなかったけれど、空はどんよりとした雲に覆われている。
「急がなきゃ」
濡れないようにと家まで走ると、着いた頃には、雨の香りは遠ざかり、涙の跡は、雨で消されていた。
「あ…」
空が明るくなると、大きな虹が視界いっぱいに広がる。
「…頑張ろう」
涙の跡を消すように降り、空で輝く大きな虹に励まされたように感じ、頑張ろうと思うのだった。