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6/3/2025, 9:43:19 AM

まだ続く物語 勝ち負けなんて 雨上がり 傘の中の秘密 です。


まだ続く物語

「おめでとう」
家に帰り、昇進の決定をキミに伝えると、キミは顔を綻ばせる。
「ありがとう」
喜んでもらえてホッとした俺に
「今以上に、私も頑張るからね」
キミは気合を入れる。
「…キミも、頑張るの?」
俺が頑張るのは当たり前だけど…。と不思議に思っていると
「昇進する。ってことは、上司として責任も仕事も増える。ってことでしょ。そんなあなたを、もっと支えられるように頑張るの」
ふふっと笑うキミの笑顔に、胸が愛しさでいっぱいになる。
「まだ続く物語を、ずっとずっと隣で見させてね」
そう言って笑うキミを
「うん。ずっとずっと隣で見てて」
俺は強く抱きしめたのだった。


勝ち負けなんて

「あー、悔しい」
キミと、対戦型のゲームをしているんだけれど、さっきから負け続けているキミは、悔しそうに拳を握りしめた。
「気持ちはわかるけど、俺の方がやり込んでるんだし、仕方ないよね」
慰めるように言ってみたけれど
「それでも悔しいの。だから、もう1回」
負けず嫌いのキミは、もう1回と言う。
「わかった」
ゲームの間、キミのいろんな表情が見れて、俺は楽しい。けれど、勝ち負けなんてこだわらずに、楽しそうにゲームをしている姿も見たいな。と思いながら、コントローラを手にしたのだった。


雨上がり

雨上がりの空に、キレイな虹がかかる。
「わぁ、キレイ」
思わず足を止め、僕はスマホを取り出した。
「うん、キレイに撮れた」
虹を撮影し、撮れた写真をチェックする。
「よし、送信っと」
撮れた写真をキミに送ると
「キレイな虹だね。見せてくれてありがとう♡」
と、返信が来る。
僕は、僕たちを笑顔にしてくれたキレイな虹を心にも焼き付けようと、もう一度空を見上げたのだった。


傘の中の秘密

「ねえ、見て見て」
仕事帰り。雨に降られ、うんざりしながら傘を差して歩いていると、後ろから声をかけられる。
「うん?」
隣に並んだ人物を見ると
「ああ、お疲れ」
同じ部署の人だった。
「お疲れさま。それよりも見てよ。傘の中の秘密を」
「傘の中の…秘密?」
何を言っているんだろう?と首を傾げると
「雨の日って、傘を差して歩くの憂鬱じゃない?そんな憂鬱を吹き飛ばすために、傘に工夫をしたの」
キミはクスクスと笑う。
「え、工夫?」
「そう、これ」
キミが指差した先を見ると、傘の中に大きなキャラクターがいる。
「これ、何?」
「ふふふ。これはね、私の大好きなキャラクターのステッカーを貼ったの。これを見るとね、雨の憂鬱が和らぐんだ」
「へえ、なるほどね」
キミの工夫に感心しながらも、キミの笑顔に釘付けになった俺だった。

5/30/2025, 9:55:07 AM

「…聞いてもいい?」
いつもとは違い、神妙な面持ちで、キミは俺に話しかける。
「いいけど、何?」
どうしたんだろう。不思議に思いながら返事をすると
「私とのこと、どう思ってる?」
キミは真剣な目を俺に向けた。
「そ…れは」
言い淀む俺に構わず
「私はあなたとずっと一緒にいたいと思ってるよ。けど、あなたの気持ちがわからなくて…」
キミは本音をぶつけてくる。
「…ごめん、ちゃんと話すね」
そんなキミに向き合わなければ。と、俺は重い口を開いた。
「俺も、キミとずっと一緒にいたい。結婚したいと思ってる。けどね、俺は渡り鳥みたいな転勤族。いつどこに行ってくれ。って言われるかわからない。それに、キミを巻き込んでいいのかわからないんだ。…そうわかっているのに、キミと別れたくなくて、言い出せなかった。キミの大切な時間を、ムダにさせてしまって、本当にごめん」
頭を下げると
「話してくれて、ありがとう。私を、あなたが羽を休める場所にしてくれますか?」
キミは微笑む。
「…ありがとう」
キミの言葉がうれしくて、キミをギュッと抱きしめたのだった。

5/29/2025, 9:36:56 AM

ひらひらと、桜の花びらが風に舞う。
「キレイだね」
桜の木を見上げ、キミはつぶやく。
「そうだね」
キミに合わせて僕はそう言ったけど、風に舞う桜の花びらよりも、長い髪がさらさらと風に揺れるキミの横顔を、僕はずっと見つめていた。

5/28/2025, 7:38:36 AM

大好物のお菓子を手に持ち、ゆっくりとした動作で口に運ぶ彼女。
「これで最後…」
自分に言い聞かせるように呟くと、最後の1つを口に入れる。
「うん、美味しかった。明日からは我慢だ」
そう言うと拳を握りしめ、お菓子の空箱をゴミ箱に捨てた。
「頑張ってね」
「うん」
明日からダイエットをする。という彼女。
彼氏である俺は、彼女が痩せても、今のままでも彼女を好きなことには変わりないし、正直どっちでもいいと思っている。
ただ、彼女が頑張るというなら、彼氏として、協力と応援はしてあげたい。
彼女を見つめながら、そう思うのだった。

5/27/2025, 9:34:27 AM

そっと包み込んで 歌 やさしい雨音 君の名前を呼んだ日 です

そっと包み込んで

何でも話せる仲の良い友達。
それ以上でもそれ以下でもない。
そう思っていたのに、僕の目の前で泣くキミを、抱きしめたい、そっと包み込んで守りたい。と思うのはどうしてだろう…。
自分の気持ちに戸惑いながらも、涙を流すキミを僕は抱きしめたのだった。




キミと買い物をしていると、店内に流れている歌が聞こえる。
「あ、この曲。最近よく聞く曲だわ」
キミがそう言うので、知ってる曲かな?と、歌に耳を傾けると
「ああ、ホントだ。聞いたことある」
僕でも聞いたことがある曲だった。
「この曲、好きなの?」
何気なく聞いてみると、キミは左右に首を振る。
「そうなの?よく聞く曲なんでしょ?」
「うん、よく聞く曲だよ。いろんなとこでかかってるから。でも、自分では聞かない。…この曲、大好きな人との別れの曲だから」
キミは僕から目をそらし、悲しそうな顔をする。
「そっか」
僕はキミの手をそっと取ると、繋いだ手に力を込めたのだった。


やさしい雨音

「はぁ、疲れたな」
時計を見ると、23時を過ぎている。
「しかも…雨かよ」
会社の玄関から外を見れば、パラパラではあるが、雨が降っている。
「まあ、折りたたみがあるからいいけど、駅まで歩くのがなぁ」
面倒くさい。と思いながら、折りたたみ傘を開き、俺は駅へと歩き出した。
「こんな時間なのに、明るいしにぎやかだな」
残業でこんなに遅くなることはなく、知らなかったけれど、この時間でも外は昼間のようだ。
「雨、降ってるかわからないや」
傘に打ち付けているはずの雨。けれど、音は一切聞こえない。
「疲れてるときに、この騒がしさはキツイな」
俺は、駅までの道を裏道から行くことに決め、歩を進めた。すると
「あ、雨の音」
さっきまで聞こえなかった雨の音が聞こえてくる。
「サーサー、パラパラ…」
静かな道に、響く雨の音。
「…何か、癒される」
やさしい雨音を聞きながら、駅までの道を歩いたのだった。


君の名前を呼んだ日

「好きです、付き合ってください」
君と付き合ってしばらくの間、君を苗字で呼んでた。恥ずかしくて。けど、君の名前を呼んだ日。
胸がドキドキしたけど、今まで以上に君のことが大好き。って思えた。
僕の名前を呼んでもらえた日。胸が幸せでいっぱいになった。
大切な君の大切な名前。これからも大切に呼ぼうと思った。

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