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まだ続く物語 勝ち負けなんて 雨上がり 傘の中の秘密 です。


まだ続く物語

「おめでとう」
家に帰り、昇進の決定をキミに伝えると、キミは顔を綻ばせる。
「ありがとう」
喜んでもらえてホッとした俺に
「今以上に、私も頑張るからね」
キミは気合を入れる。
「…キミも、頑張るの?」
俺が頑張るのは当たり前だけど…。と不思議に思っていると
「昇進する。ってことは、上司として責任も仕事も増える。ってことでしょ。そんなあなたを、もっと支えられるように頑張るの」
ふふっと笑うキミの笑顔に、胸が愛しさでいっぱいになる。
「まだ続く物語を、ずっとずっと隣で見させてね」
そう言って笑うキミを
「うん。ずっとずっと隣で見てて」
俺は強く抱きしめたのだった。


勝ち負けなんて

「あー、悔しい」
キミと、対戦型のゲームをしているんだけれど、さっきから負け続けているキミは、悔しそうに拳を握りしめた。
「気持ちはわかるけど、俺の方がやり込んでるんだし、仕方ないよね」
慰めるように言ってみたけれど
「それでも悔しいの。だから、もう1回」
負けず嫌いのキミは、もう1回と言う。
「わかった」
ゲームの間、キミのいろんな表情が見れて、俺は楽しい。けれど、勝ち負けなんてこだわらずに、楽しそうにゲームをしている姿も見たいな。と思いながら、コントローラを手にしたのだった。


雨上がり

雨上がりの空に、キレイな虹がかかる。
「わぁ、キレイ」
思わず足を止め、僕はスマホを取り出した。
「うん、キレイに撮れた」
虹を撮影し、撮れた写真をチェックする。
「よし、送信っと」
撮れた写真をキミに送ると
「キレイな虹だね。見せてくれてありがとう♡」
と、返信が来る。
僕は、僕たちを笑顔にしてくれたキレイな虹を心にも焼き付けようと、もう一度空を見上げたのだった。


傘の中の秘密

「ねえ、見て見て」
仕事帰り。雨に降られ、うんざりしながら傘を差して歩いていると、後ろから声をかけられる。
「うん?」
隣に並んだ人物を見ると
「ああ、お疲れ」
同じ部署の人だった。
「お疲れさま。それよりも見てよ。傘の中の秘密を」
「傘の中の…秘密?」
何を言っているんだろう?と首を傾げると
「雨の日って、傘を差して歩くの憂鬱じゃない?そんな憂鬱を吹き飛ばすために、傘に工夫をしたの」
キミはクスクスと笑う。
「え、工夫?」
「そう、これ」
キミが指差した先を見ると、傘の中に大きなキャラクターがいる。
「これ、何?」
「ふふふ。これはね、私の大好きなキャラクターのステッカーを貼ったの。これを見るとね、雨の憂鬱が和らぐんだ」
「へえ、なるほどね」
キミの工夫に感心しながらも、キミの笑顔に釘付けになった俺だった。

6/3/2025, 9:43:19 AM