YOU

Open App

「…聞いてもいい?」
いつもとは違い、神妙な面持ちで、キミは俺に話しかける。
「いいけど、何?」
どうしたんだろう。不思議に思いながら返事をすると
「私とのこと、どう思ってる?」
キミは真剣な目を俺に向けた。
「そ…れは」
言い淀む俺に構わず
「私はあなたとずっと一緒にいたいと思ってるよ。けど、あなたの気持ちがわからなくて…」
キミは本音をぶつけてくる。
「…ごめん、ちゃんと話すね」
そんなキミに向き合わなければ。と、俺は重い口を開いた。
「俺も、キミとずっと一緒にいたい。結婚したいと思ってる。けどね、俺は渡り鳥みたいな転勤族。いつどこに行ってくれ。って言われるかわからない。それに、キミを巻き込んでいいのかわからないんだ。…そうわかっているのに、キミと別れたくなくて、言い出せなかった。キミの大切な時間を、ムダにさせてしまって、本当にごめん」
頭を下げると
「話してくれて、ありがとう。私を、あなたが羽を休める場所にしてくれますか?」
キミは微笑む。
「…ありがとう」
キミの言葉がうれしくて、キミをギュッと抱きしめたのだった。

5/30/2025, 9:55:07 AM