夜空に輝く星の並びを、いろいろな形に例えた星座。
本やネットじゃなく、見に行こうか。という話になり、彼女と一緒に海に向かった。
「キレイだね」
海岸から見上げた空には、数えきれないくらいの星たちが瞬いている。
「星座、どれだろう?」
スマホでサイトを開きながら、夜空に広がる星を確認していく。
「あ、あれが…」
空に向かって指を差しながら見ていくけれど
「うーん、これってそう見えるかなぁ」
これがこの星座。と言われても、そう見えるような見えないような…。
「星座に名前をつけた人は、創造力が豊かなんだね」
「そうだね」
彼女と微笑み合う。
星と星を繋げて形に例えた星座。
僕も彼女と、星座のように、見えない線で繋がっていたいな。そう思いながら、彼女と手を繋ぎ、星を見上げたのだった。
今僕は、バクバクと騒ぎまくる心臓を、両手で強く押さえている。
「はい。って言ってくれるかな」
時間が近づくにつれ、緊張がピークへと達していく。
今日は僕の通う学校の学園祭。そして、もう少しで後夜祭と称したダンスの時間になる。
僕たち男子が気になる女子をダンスに誘う…。
「あー、緊張する」
僕は、ダンスに誘うべく、気になっている子を探していた。
「あ、いた」
気になっている子は、友だちと一緒に何やら楽しそうに話している。
「声、かけづらいな」
友だちと一緒だと…。と声をかけるのを躊躇していると、その子たちの方へ歩いていくやつがいるのが見えた。
「迷っている場合じゃない」
先に声をかけられないようにと、僕は早歩きでその子に近づくと、右手を差し出し
「僕と踊りませんか?」
と、こわばった笑顔で伝えたのだった。
時間は限られているけれど、ここに来れば、いつでも会える。
そう信じて、見かけたけれど素通りしてしまったの。
なのにどうして。何度通ってもあなたはいない。
会いたくて会いたくて、時間を見つけては会いに行くのに、私に意地悪するように、あなたの姿はない。
ああ、あのとき。いつでも会えるなんて思わずに、立ち止まっていれば…。
だけど私は諦めない。
会えるまで何度でも何度でも通うから、私にその姿を見せて。
そして、あなたに巡り会えたら、私は迷わず手を伸ばすわ。食べてみたかった、期間限定のコンビニスイーツに。
奇跡をもう一度起こせるのなら、キミに会いたい。
会って想いを伝えたい。
キミに恋をしたあの頃は、勇気もないし、俺なんかじゃ…。って伝えることなんて考えもしなかった。ただ、話せるだけでいいって。
なのにどうして?どうしてこんなにも、キミへの想いが止まらないんだろう。
あの時、街中で偶然キミを見かけたから、想いが再燃して…なんだろうか。
キミの現状、連絡先すらも知らないのに、見かけることができた奇跡。その奇跡をもう一度、もう一度起こすことができたなら、その時は、キミに想いを伝えたい。
今更言われても迷惑だろうことは、自分でもわかってる。けれど、伝えるまで、きっと想いは止まらない。
だからお願いです。奇跡がもう一度起きて、キミに会うことができたときには、想いを伝えさせてください。
1つ前の、きっと明日も。と、たそがれ。です。
よろしくお願いしますm(_ _)m
きっと明日も
「何か楽しいことないかなぁ」
毎日同じようなことの繰り返しで、退屈なんだよね。
と、読んでいた本をパタンと閉じて、キミは言う。
「イヤなことがないなら、それでいいんじゃない?」
そう言った俺に
「そうなんだけどさぁ」
キミは苦笑いする。
「毎日がさ、読んでる本のストーリーみたいだったら、どうする?」
俺の問いにキミは少し考え
「…読むだけでいいわ」
ゲッソリした顔になる。
「まあ、そうだよね」
読んでいるのは、殺人鬼に追われるストーリー。毎日生きた心地がしないだろう。
「読んでる内容によっては、本の中の方がいいのかもしれないけど、本の世界は、なかなか自分が体験できないことの方が多いだろうからね」
「そうだね」
「だからさ」
俺はニコッと微笑み
「何か楽しいことないかな?って言えることが、幸せなんだと思うよ」
きっと明日も、同じようなことの繰り返し。
だけどそれが幸せなんだと、思うのだった。
たそがれ
太陽が一日の役目を終えた、たそがれ時。
薄暗い中、路地裏の壁に寄りかかってタバコを吸っていると
「何してんの?」
と、声をかけられる。
「見りゃわかんだろ。タバコ吸ってんだよ」
声をかけてきた隣人に返事をすると
「大変だね」
と、苦笑される。
「まあ、仕方ねえよ。タバコやめらんねえし、部屋で吸うと臭いがつくからな」
吸った煙を空に吐き出すと
「大家さんに怒られそうだよね」
煙は暗闇に溶けていく。
「いつもここで吸ってるの?」
あまり話す機会のない隣人。
「…そうだけど、何で?」
何でそんなことを?と不思議に思っていると
「タバコ吸ってるときに、見かけたらまた話したいなって。一人暮らしであまり話せる友達もいないし、邪魔じゃなければ…」
たそがれが似合いそうな、少し淋しそうな顔で言われる。
「構わねえよ。吸う時間は決まってねえけど、時間決めんのか?」
もしくは連絡先の交換?吸いに行くときに声をかける?と考えていると
「ありがとう。タバコを吸ってるのが見えたら来るね」
隣人は嬉しそうに笑う。
「…吸ってるのが見えるのか?」
タバコを吸う時間は、だいたいいつも今くらい。人の姿は見えないんじゃ…。
「見えるよ、タバコの赤い火がね」
隣人はそう言ってニッと笑う。
「わかった。じゃ、また会ったらな」
「うん」
なるほど、そういうことか。
隣人の言葉に納得し、タバコを吸い終え、隣人と一緒に部屋に戻ったのだった。