【また明日】
「また明日!」
そんな君の明るい声が聞こえたような気がした。
後ろを振り返ってもやっぱり君は居なくて。
余計に僕の哀しみを増幅させたように感じる。
今頃君がいたらどうしていただろう。
僕は、君は、何をしていたのかな。
また明日、か。
君のいない明日は無意味でしかないのに。
今日だって昨日だって。
君がいないと僕は、駄目みたいだ。
ねぇ、聞いてる?
どうして、居なくなっちゃったの。
また明日。
また明日、来ても君はいないんだろ。
ここに来るだけ無駄じゃないか。
あはは。
あははははは。
「また、あしたね」
そう、とある墓地で呟いた青年は不気味な笑いを溢し、去っていった。
るあ
【これからも、ずっと】
「好きだよ。」
君を見て、口に出した。
好きだ、と伝えるのもこれで何回目だろうか。
「もう、聞き飽きたよ」
そう言って笑う君も好きなんだ。
何度だって、君が離れて行くまでは伝え続けるよ。
それまでは、ずっとね。
きっといつかは君も僕の元から離れて行ってしまうんだろう。
そうなったらどれほど悲しい事だろうか。
君と居ることが生き甲斐の僕は、どうなってしまうのだろうか。
君が中心なんだ。
心の支えなんだ。
どうか、どうか、居なくならないで。
そう願う。
でも神様なんていないからさ、叶わないんだよ。
どれだけ願ったって、どれだけ祈ったって。
だから言葉で君を縛り付ける。
少しくらいは離れにくくなるでしょ?
これからも、ずっと。
そばにいてよ。なんてね。
これからも、ずっと。
大好きだよ。ずぅっと、ね。
るあ
【星空の下で】
あぁ、星が綺麗だ。
君は何処に居るんだろう。
僕はここにいるんだ、と。
君に見つけてもらいたくって、目一杯腕を広げた。
大きく息を吸い込むと、夜の少し冷たい空気が肺一杯に満たされる。
あぁ、君は何処に居るんだろう。
君の居場所が分かったなら、今すぐにでも駆け付けて強く抱き締めたい。
君だって、そうでしょ?
僕は寂しくて仕方無いよ。
ねぇ、そこにいるんでしょ?
輝く星を見詰めながら考える。
僕を置いていくなんて。許さないから。
ねぇ、僕もそっちに行っても良いかな。
この大きな星空の下じゃ、君が何処に居るのか分かんないや。
きっと、そこに行けば分かるよね。
あぁ、お星さま、お星さま。
そっちに行っても良いですか?
広い星空の下で。
輝く星に問いかけた。
るあ
【エイプリルフール】
「ねぇ、好き、付き合って?」
混乱した。
だがハッと気付く。
今日は4月1日、すなわちエイプリルフールだ。
つまり、先程の発言も嘘だろう。
「嫌です」
勘違い野郎になるつもりはないので丁重にお断りする。
いくら幼馴染みとはいえ、おふざけが過ぎる。
もし、僕がお前のこと好きだったらどうすんだよ。
本当は、好き......なんて、言うわけ無いけど。
要らぬ期待は生まない方が良いと思うな。
「ちぇ、釣れないのー」
プクっと頬を膨らませる君は、悔しいほどに可愛いかった。
全部本当だったら良かったのに。
エイプリルフールなんて嫌いだ。
るあ
【胸が高鳴る】
トクン。
それはきっと恋の始まりだった。
いつものように君に"おはよう"と告げて、席に戻るはずだった。
でも、そうはいかなかったんだ。
君が僕に、にっこり笑っておはようと言ったから。
その瞬間だった。
トクン、と胸が一際高く鳴って、心臓がグッと握られたように苦しくなった。
息が出来ない、とかそんな苦しさじゃなくって、とても言葉では表せない感覚だった。
些細なことだったかもしれない。
でもその些細なことが僕にとっては大きなきっかけだった。
トクン。また、トクン。
君と目が合った。
喋りかけられた。
名前を呼ばれた。
友達になった。
一緒に出かけた。
告白した。
付き合った。
君との思い出が増える度に君にときめいて。
胸が高鳴る感覚を教えてくれたのは、君だった。
るあ