【柔らかい雨】
しと、しと。しと。
ぼんやりと空を見る。柔らかい雨が頬を濡らす。
仕事でやらかして落ち込んでいる脳は、思っていたより疲れていたようで、あぁ、雨か、なんて気付くのにも大変時間がかかってしまった。
どんよりと曇った空はこれから天候が悪化すると告げているようだった。
ぴとん、と目に雨粒が落ちる。
ぼやけてしまった視界。ゴシゴシと目を擦る。
段々雨粒が大きくなっている気がする。
早足で家へ帰り、窓を閉める。
暗い部屋の中で冷たい床に腰をおろせば、まもなく外から強い雨の音が聞こえてきた。
ちょっと、寒いな。
ベッドから毛布を引きずり下ろし頭から深く被る。
今日は本当にツイてない。
まぁ、こんな日もたまには良いのかな。
るあ
【哀愁を誘う】
11月、もう秋も終盤と言うころか。
頬を撫でる風は、いつの間にか冷たくなっていた。
この間まで暑くて仕方がなかったのに。
ずっと家に居るのもな、と思い、外へ出てきたのは良いものの、特に目的も無くうろうろしている自分が異様に浮いているような気がしてならない。
周りには仕事帰りのくたびれたサラリーマンや塾帰りの子供が家を目指して歩いている。
空はいつの間にかオレンジ色に染まってしまった。
少し肌寒い。
僕は、何をしているんだろう。
ふとした瞬間に、変に冷静になった。
一度思考をめぐらせてしまったら、止めることなんてできっこなかった。
昔は夢に向かって必死に努力をしていたのに。
今はどうだ。僕は今、何も目標がない。
やりたいことも、やらないとだめなこともない。
僕は。僕は。
ぼくはなんのためにいきているの?
子供のような幼い思考に自嘲する。
どれだけ自分を嘲っても、貶しても、変わらないことくらい知っているのに。
でも嗤うしかない。それしか、できない。
「あはは、...いいね、」
ほんと。
もう、いいよ。
秋の夕暮れの空にカラスが鳴いた。
その声が僕を嘲笑っているようで無性に腹が立った。カラスはくるりと空で円を描き去っていった。
何も失くなってしまった空が自分の事を映す鏡のようで、どこか哀愁を誘った。
るあ
【星空】
星空には何らかの力がある。
僕はそう思う。
何故かと聞かれれば返答に困るのだが。
綺麗に光る星は僕達に力をくれて。
素敵に輝く月はまるで僕達を見守っているよう。
皆が同じ空を見て。
皆がそれぞれ過ごしている。
お星さま、お星さま。
明日も元気で過ごせますように。
るあ
【世界の終わりに君と】
今日で世界が終わるなら、君は最後に何をする。
1人で静かに過ごすのか。
それとも最後まで生き延びようと足掻くのか。
世界の終わりに君と。
君は世界の終わりに、誰と居たいのか。
世界の終わりに君は何をする。
世界が終わったら、嬉しい。
世界が終わったら、悲しい。
世界が終わったら、悔しい。
世界が終わったら、楽しい。
世界が終わったら、幸せ。
世界が終わったら、怖い。
世界が終わる時、君はどう思う。
君は、この世界で。
僕の、この世界で。
君は何をして、何を思う。
あぁ、愛しているよ。
僕の、世界。
君は、僕の世界を愛せるのか。
世界の終わりに、君と。
るあ
【降り止まない雨】
窓の外から雨が打ち付ける音が聞こえる。
かれこれ2、3時間は降りっぱなしである。
「大丈夫?」
そう君に問い掛ける。
「頭いだぁい...、」
うぅ、と唸る君の頭を撫でる。
どうやら偏頭痛らしい。
僕は偏頭痛では無いのでよく分からないが、物凄く痛いらしい。
ガンガンするんだって。
少し涙目になっている君が僕の肩に寄りかかる。
「、んん"、、つらいよぉ、...」
この時間がずっと続けば良いのに。
いつまでも降り止まない雨を見ながらそう、考えた。
るあ