一夜の夢

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9/5/2024, 12:54:33 PM

貝殻を集めて瓶に詰めた。
振ると聴こえる海の音。
きみの足が砂浜を歩く音。
目を閉じて、光に透けるきみの髪を思い出す。

夏は過ぎ去った。
白昼夢の季節が幻のように霞んでゆく。
白い貝殻は入道雲の抜け殻だ。
きみは夏みたいなひとだった。

9/4/2024, 3:46:03 PM

きみの目に一瞬閃いた、あのきらめき。
きみの命のきらめき。
ぼくの右の指先から流れ込んだそれは、
心臓まで辿り着いて鼓動を速める。

きっときみは知らない。
きみの二つのブルーグレーが燃える瞬間を。
炎は熱いほど青い。

ぼくは眩しさに瞬きした。
あのきらめきの向こう側にある命は、
太陽よりも熱く燃え盛っている。

8/20/2024, 11:20:26 AM

今日、ぼくは海まで歩いた。
急いでいたから速足で。
海はあなたに繋がっている。

水面のきらめく青色が、あなたの瞳を思わせる。
照りつける日差しは、あなたの焼けた肌を思わせる。
あなたがどんなに美しかったか。

ぼくの永遠の憧れは、ついに伝説になってしまった。
魅力的だったあなたの笑顔。
真似をして片頬をつり上げる。

海がよく似合うひとだった。
少しだけ泣くために、今日ぼくは海まで来たんだ。
あなたにさよならを言う前に。

8/19/2024, 1:07:53 PM

空模様はご機嫌斜めだ。
昨日まで降っていた雨を引きずって、灰色の曇り空。
だけど、ぼくは最高の気分だった。

隣にきみがいる。
きみはタバコをふかしている。
ぼくらの間のわずかな隙間を潮風が吹き抜けていく。


たぶん、きみが先に行くだろうとわかっていた。
まだ火のついたままのタバコ。
今日は雲が多いから、迷わずに登っていける。

先に海の話をしていてくれ。
なあ、きっとぼくらの海の話がいちばんに違いないよ。

8/15/2024, 12:42:08 PM

夜の海には月が溶けている。
きみが憧れていた太陽は、おれには眩しすぎた。
だからおれはこうして夜の海を眺めている。

ああ、きみはついに太陽を手に入れたらしい。
太陽が溶けた眩い海を。
きみは永遠になった。

きみの手のひらにおれが開けた穴。
おれの手のひらにきみが開けた穴。
そこからまだ、太陽が見える。

暗い夜の海で、おれは月に手をかざす。
きみの笑顔と柔らかな囁き。
昼に溶けた太陽は、夜も海を漂うだろうか。

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