一夜の夢

Open App

イルミネーションの橙色がぼやける。
吹きつける風は痛いほどだ。
横断歩道の向こう側で、去年のきみが笑っている。

ハルシネーションは残酷だ。
ぼやけた光の奔流が、ありもしない幻覚を見せる。
泣いたらきっと、そのまま目まで凍ってしまう。

冬の街は寂しい。
きみが隣にいないから余計に。
煌めく電飾の海を泳ぎながら、ぼくは目に焼き付いた橙色を振り払った。

12/14/2024, 2:31:11 PM