【手を繋いで】
手を繋いで貴方と歩きたい。
だけど、今の私では貴方の側には居られないんだね。
いつか、叶えられたら良いな。
貴方が私を好きになってくれる日を願って。
今はただ、自分の手と手を重ね合わせ、夜空に輝くあの星ぼしに願いを込めよう。
【ありがとう、ごめんね】
愛情がないわけではない。
憎いわけでもない。
ただ、どう愛して良いのかわからない。
あなたが生まれてきてくれて、本当に嬉しかった。
日が経つにつれて膨らんでいくお腹。
その度、今まで感じたことのない感情、愛おしさが私の中で大きくなっていく。
そして、アナタが私の中から出てきた瞬間。
私は涙が止まらなくなった。悲しいわけではない。苦しいわけでもない。
ただただ、私の見てた世界がアナタが出てきたことで見方が変わったのだ。
どうしようもない感情。どうしようもない感覚。
どうしようもない感動。
とにかく生まれてきてくれてありがとう!
それなのに、どうして私は-
アナタを愛しているの。
それなのに、私の中にもうひとつの感情が生まれた。
アナタを見ているとどうしようもない自分の焦り苛立ちが大きくなる。
躾とこじつけ、私は必要以上にアナタを叱りつけた。
たまに、叩くことも増えた。
それでもアナタは何も言わず、泣くこともなく私を母と呼んでくれるのだ。
私の心は張り裂けそうになる。
アナタを愛しているの。
だけど、ごめんね。
私はアナタの母親にはなれそうにない。
それでも、アナタを愛しているのよ。
【部屋の片隅で】
部屋の片隅で膝を抱え泣いていた。
誰かに慰めて貰いたいわけでもなかった。
だけど、現実は何時だって私に厳しくのし掛かる。
それに堪えられるほど私は強くない。
逃げ出したくて仕方無い。
そんな時はあなたを思い出す。
私の唯一の心の拠り所。
あなたが居てくれたらきっと私は頑張れるよ。
【逆さま】2
「…」
落ちていく。
落ちていく。
落ちていく。
それはもう闇の中へと。
沈むように。
さて、ウサギの後を追って穴へ飛び込んだまでは良いけれど…
「一体何処まで落ち続けるのかしら?」
まさか、このまま死んじゃったり…
「イヤよ!私にはまだまだ未来があるんだから!」
そう下に落ちながら後悔をし始めた頃。
ふわぁ-
「…あら?」
落ちていたはずの体は重力を失くし、私の体はふわふわとまるで風船のように浮き始めたのだ。
「そうね、これなら落ちても大丈夫そう」
底を覗けばまだまだ暗闇は続いてた。
さて、この先には何が待っているのか。
不安と少しの恐怖心。それに興味や好奇心、少しの興奮が私の心を軽くする。
次なる出会いが私を突き動かす。
【眠れないほど】
あなたに愛されたい。