【夢と現実】
これは夢?それとも現実?
…どっちでもいいか。
だって私は大好きな君に抱きしめられているんだから。
こんなに幸せなことがこれ以上あり得るのだろうか。
夢なら覚めないで。現実ならもっと強く抱きしめて。
【さよならは言わないで】
本当に愛していたのはあなただけ。
あなただけが私を飼い慣らせたの。
だけど、私の中から湧き出てくるこの泥々した感情、禍々しい憎しみ達。
それは何と、甘美なるものなのか。
私は光の世界を捨て、闇へと堕ちていく。
あの人を呪い、あなたを捨てた。
ただ、さよならは言わないわ。
だって、私の中にはあなたと私だけの愛の結晶が疼いているのだから-。
【光と闇の狭間で】
何のために私は生まれたのか。
全てのものが信じられなくなった。
我が主、あの神でさえも。
何故なのか?
生まれたあの日、ひどい哀しみと苦しみが昔の記憶のように私の中を支配していた。
"あの者を信じてはならぬ"
何処からか声が響く。
だが、不思議と恐ろしくはない。むしろ、安心と安らぎを私にもたらした。
その声は私が成長するごとに日々大きくなっていく。
私は常にその声にしたがい、周りに悟られぬよう振る舞い続けた。
来るべき日に備えて。
我が名はルシフェル。神を越える存在になり得る者。別の名をサタン-。
【距離】
近距離。長距離。遠距離。
遠ければ遠い程、君との心の距離も離れていくようで。
じゃあ、近い距離ならば君の心も繋ぎ止めておくことが出来るのか。
そんなのわからない。
知りたい。けど、あまり君の心に近づけば君は私を嫌いになりそうで。
怖いのだ。嫌われたくない。
毎日会ってたあの日々が懐かしい。私にとって一生の宝物。
今では週に一度だけ。寂しい。君を想うと心が締め付けられる。
私の気持ちが早く君に届けられたらいいのに。
【泣かないで】
"泣かないで、きっとまた会えるから"
そう、僕に言い残し。
君は僕の世界からいなくなった。
君が僕の前に現れた毎日は、今まで何もなかった日常、そして僕の心に彩(あかり)を灯した。
君のいなくなった世界は、まるで暖炉から焔が消えたように静かな部屋にたった独り取り残された蝋燭のようで。
どうして、君はいなくなってしまうのか。人ひとりに与えられた命が永遠のものになれば良かったのに。
そう願えど永遠が続けば君の苦しみも永遠に続くのか?それならば、一層--。
「会いたいよ…、君に、」
呟きは暗く冷えきった部屋に虚しく消えただけだった。