『貝殻』 No.128
何処からか流れついて
何処かへ また
流れていく
中身は空っぽで
色褪せて
硬い
私みたい
『開けないLINE』 No.127
一件のメッセージ
通知欄には「ずっと前から好…」
と途中まで見えた。
二年一緒に過ごしたクラスメート
これで開いてしまったら、既読が着いてしまう
でも、早く答えたい
『言葉はいらない、ただ…』 No.126
「ごめん」
しばらく、口が開かなかった。
どういうことだ?違う、そんなはずは…
「別れよ」
私が呆然と立ち尽くしていると、ツーツーと機械音がなった。あ、切られたのか。
なんでだろ、涙はもう乾ききって出ないみたい
愛してる、って言葉はいらないよ
ただ…
まだそばにいたかったなぁ
『雨に佇む』 No.125
雨が、降ってる。
小さな洗面所の丸窓に、雫が滴る。
とたとた、ぽろぽろと屋根に大粒の雫が落ちる音が、耳を澄ませばあちこちから響いてくる。
気付けば、玄関のドアを押していた。
体に濁った雨が染みていく。
あぁ、…
このまま流れて消えてしまいたい
薄く濁り曇った景色にまみれて
自分も薄れていきたい
止まらない涙と
ぐちゃぐちゃのこころ
助けて、助けて
こんなに苦しいの
雨の中叫んでも、涙が溢れても
灰色の世界は静かなまま
透ける肌と
生々した感覚
鼻につんと染みるあの匂い
体を通り落ちる雫
不安定な土に数え切れない雨音が叩きつけられる
湿った辺りは薄灰に濁り
霧をやさしく纏う
ぽたぽた
ぴちゃ
ころころ
顔が熱い
目が曇る
気づけば雨が止まっていた
肌寒い感じが僅かに、残る。
なにしてるんだろ、ってわらえる。
肩にはまだ、雨が去った事が物語られる
無数の水のシミができていた
『私の日記帳』 No.124
私の生涯を語る、何百冊もの日記帳は
玄孫まで受け継がれた。
その次の子はものをよくなくす子で、間違えてゴミに出しちゃったのだとか。
私の日記帳には、いつも
「ありがとう」か「さようなら」が書かれていた。
寂しかったときの日記帳は群青色で、
楽しかったときの日記帳は鮮やかなオレンジ色で
私のもうひとつのこころ。
日記帳は、生涯の相棒だし宝物だった。