『心の健康』 ◦No.118◦
いっぱいの光をあびて
たくさん運動して
こころゆくまでゆっくり眠って
すきなものも、きらいなものも一生懸命に
受け入れる。
心の健康って、そういうことだよね。
『君の奏でる音楽』 No.117
君は、優しい音楽を持っているんだね
どこか温かくて
心にじんわり響く
そんなメロディを
え?
スマホで流してない?
そういうんじゃ、ないよ。
君の奏でる音楽は
たくさんのこころの支えだよ
『麦わら帽子』 No.116
蝉鳴く八月。
ぼちぼちヒグラシの声も途切れ途切れ聞こえる頃なので、秋がやってきていることが毎日耳に染みる。
蝉の声が近くでして振り返ると、不思議な光景を目にした。
緑生い茂る木に、麦わら帽子が引っかかっている。
風に揺られても落ちる気配はなく、持ち主も近くには居ないようだった。だから、自分がつま先立ちでたう位置にあるものを果たして取るべきか、迷った。自分は高身長なので、無理なくとることができる。とって損はないだろう、と自分に言い聞かせて、風に揺れる麦わら帽子を引っ張った。
取りあえず木の下のベンチに帽子を置いた。
それから、まだ持ち主が来ないと分かってから、公園を足早に去った
公園を出て数歩。気になって振り返る。
すると、3歳くらいの小さい子がなにやら麦わら帽子を指差していた。間もなく女性が走ってきて、嬉しそうに帽子を被った。
戻ろうかと思った自分も居たが、あえてそのまま自分は引いた。
これほどほっこりしたのはいつぶりか。
こぼれる笑みをなんとか人前に出さないように過ぎ去る。
ヒグラシの声が、公園の外まで響きだしていた。
『終点』 No.115
気づけば、私は電車に乗り込んでいた。
とある秋の夜のことだった。
家に居るのが苦しかった。なにより、辛かった。
だから、ここを出てやると言い切って、僅かなパンと貯金箱を乱暴にもって飛び出してきたのだ。
冷え込んできた駅の錆びたベンチで横になる。
ハンガーに掛かっていたコートがあってよかったと本当におもった。
それから、目を閉じた。近くの草が広がる所からは、優しい虫の音が響く。
お腹がすいたな……。でも、このパンは明日ようだ。あぁ、懐かしい……
こんな時に思い出すのがお母さんの笑顔なんて、、
悔しい。
ぎゅっと目をつむった、その時だった。
キーーっと、大きな音が、静まり返ったさびれた駅に響き渡る。
はっとして目を開いて、私はとても驚いた。
え……?
そこには、立派な電車が止まっていた。
さぁ、おいで……とでも言うように、電車がプシューと音を立てて扉を引く。
ふらふらと電車へ近付く私。
顔に電車の光りが青白く反射する。
乗り込んだ途端に、電車のドアがバタンと閉まって正気に戻った。
嘘、嘘!乗っちゃった……!
どうしよう、発車してる!!
焦って足がもつれ、手すりで強く頭を打った。
そこからは、何もわからなくなった───
どれくらい経っただろう。
電車はいつの間にか止まったみたいだった。
不思議なことに、私は電車のソファの上で横になっていた。毛布も、かけてあった。
カーテンが開いてあったので、電車には朝の光が差し込んでいた。
だから、すぐに気がついた。
最初は少し怖かったけれど。
そう、
電車内にはツタやら苔やらがびっしり生え、ソファも綿が飛び出ていた。車体は全体的に寂びていて、電気は割れていた。
この電車は、最初からこうだったのだろうか。
いや、でもこの毛布は?
出発したはずなのに、外に出るとただの山中の駅に帰っていた。出発点から動いていない?
のちのち調べて分かったのは、
あの駅は何十年も前に廃線になったこと。
それから……
ときどき車掌さんの霊が、人を乗せて終点までさらっていくそうだ。
車掌さんの気まぐれで、私は助かったのだった。
『上手くいかなくたっていい』 No.114
どうしたの?
顔をぐしょぐしょにして。
なにか、あったのかな…?
…そっか。
でも
君は君で良いんだよ。
たとえ笑えなくたって
上手くいかなくたって
僕がそばにいるよ。
ほら、泣かないで。
僕もなきたくなっちゃうな
君には笑って欲しいんだ
あんなに頑張る君だから
疲れちゃったんだよね。
よく頑張ったね。
今日はゆっくりしよう。
また笑える日が来るまで
その日が一秒でも早く来るように
僕がせいいっぱい、お手伝いするからね。
なんでもひとりでやろうとしないでね?
人を頼ることは、だめなことではないんだよ。
頼れるほどの人が、君にはいるのだから。
今は疲れちゃっててもね
こころに冷たい雨が降っててもね
ずっと雨じゃあなくって
いつかいっぱいに輝く太陽がやってくるんだよ
ずうっと晴れでもないし
雨でもない。
時にはずっと曇りかもね。
雷でも
風が強くても
凍える寒さが続いても
辛抱強く、、
いまのきみに出来ることは
光差す日を頑張って待つこと。
それから…
じぶんのこころに傘をさしてみることだよ
させなかったら、僕におしえて。
僕がいつでも傘をもっていくから。