雨音

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7/15/2023, 10:18:59 AM

『終わりにしよう』 No.103


もう、終わらせたいのに

まだあいつは現れもしない

「もう、私たち…おわりにしましょう?!ねぇ!」

静まり返る部屋。


すると、現れた。




─シューッ…



彼女が放ったスプレーから崩れ落ちてきたのは、まだ血を吸っていない蚊だった。

7/13/2023, 11:21:51 AM

『優越感、劣等感』 No.102



才能なんて分からない

最下位なんか分からない



才能なんて分からない

一番なんて、分からない

7/11/2023, 9:23:46 AM

『目が覚めると』  No.101


目が覚めたら、

あの世へ行っていたい

目が、覚めたら。

天国のおばあちゃんに「ごめんね」っていいたい。

目が…覚め、たら。

天国のおじいちゃんに「ありがとう」を伝えたい。




目が覚めると、

雲の上にいた。

7/8/2023, 10:32:17 AM

『街の明かり』    No.100



 吐息が寒さに掠れて白く濁る。はぁ、はぁと息切れが激しい。しんしんと降り注ぐ粉雪が、黒いローブに染みていく。当たりは真っ暗だ。

 なんとなく家を飛び出したのが、悪かった。
何ももっていない。ランタンさえも。

 濁った緑の街灯からこぼれ落ちる、小さな光を頼りにするしかない。ローブにしっかり体をうずめ、小股で少しずつ、進む。厳しい寒さで手先が赤くなっていく。かおに近づけて息をはあっとかけても、固まった手は柔らかくならなかった。



 深夜の街の光が、ぽつぽつと見えるかとおもえば少しずつ消えていく。みんなが夜を迎えているのだ。私はそれでも、家にかえらなかった。


やがて街の明かりがほとんど失われてから、私は錆びたベンチに横になった。すっかり冷え切ったベンチは緑の塗装が剥がれ落ち、人が座ったような温もりはなかった。

 頬に舞い降りる粉雪は優しかった。

街の明かりがもどる、そのときまで。

目を閉じて、私はねむる。

7/7/2023, 11:48:07 AM

『七夕』    No.99



「あなたは何をお願いするの?」
それは、近所の夏祭りのことだった。
七夕にちなんで高々と掲げられた笹に、薄紅色の短冊を掛けていたら、となりの小さな女の子に聞かれたのだ。

だから、引っかけた短冊を小さな女の子のおでこまで下げて、
「志望校に受かりますように」という目標を、近くでみせてあげた。
女の子はたいそう喜んで、
「がんばってね」とだけいって、走り去った。

もう一度短冊をかけ直すと同時に気づいたが、勝手に見るのはなんだか申し訳ないから、見るのは避けた。

となりの、女の子の灰色の短冊を、みるのは。

私は笹に背を向け、友達の方に駆けていった。
下駄をカランコロンと鳴らして。


ちょうど後ろでは、女の子の短冊が爽やかに揺らいでいた。








─地球戦略が、我々の勝利にオワリマスヨウニ

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