夢見てる

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11/8/2021, 10:41:47 AM

意味がないこと

貴方の目線の先はいつもあの中尉さん。そんな彼の1番にはどうやってもなれないことなんてわかって
る。でも私は幼いから少しだけ駄々を捏ねて心の中で中尉さんに抵抗する。
彼が好きだと言っていた服を着て、彼の好きな匂いを纏って彼に微笑んでも、彼が可愛いと言っていた髪を結って彼の前でわざとらしく揺らしても、貴方は「お前はいつまでも餓鬼だよな」と意地悪げに私を嗤って、せっかくあなたを想って結った髪を平気でぐしゃぐしゃにする。その度に私はあぁまた勝てなかったのかと、顔も知らない中尉さんに酷く嫉妬してしまう。
もし彼に「あなたの事を一番に慕っております。」と伝えても彼の中の1番は、あの中尉さん。
いくら意味のないことでもいつか少しでも彼の心の隅にほんの片隅に私の存在があって欲しいって思ってしまうのは、私の幼い我儘ですね。もし私が少し大人になったら彼の心に、なんて

u

11/7/2021, 12:52:35 PM

あなたとわたし
貴方は優しくて、私よりも手が大きくて、私よりも足が大きくて、私よりも声が低くて、ぐーたらで、お腹もぽっちゃりしてて、私よりも沢山すね毛が生えてて、、彼の体を確かめるように言っていると「おいおい、それは褒めてんのかよ」低い声を出しながら少し小突かれた。そしてお互いに見つめ合って少し笑い合う。
「あなたとわたしこんなにも違うところがあるのにお互いを思う気持ちは一緒なんてとても素敵ね」と言い彼の顔を見ると耳まで真っ赤にしていつもへの字の口を更にへの字にしちゃって、そっぽまで向いて「あぁ…」なんて素っ気なく言うから私まで恥ずかしくなって来ちゃったわ

kd

11/6/2021, 2:26:41 PM

柔らかい雨
私の頬を彼の暖かい涙が伝う。私の頭を自分の膝にのせ節くれだつ手で私の髪を梳かすように頭を撫でる。私はその泣き顔を眺めながら貴方の眉間に寄るシワを伸ばすように撫で頬に手を回す。彼は私の手を味わうように目を閉じた
どうしたの?と声をかけた「お前が何処かに行ってしまう夢を見た。」私はどこにも行かないよと伝えると彼はあぁ、と小さく答えた。また彼の涙が私の頬に落ちた。何だか雨みたいだ、とても暖かく柔らかい雨

tk

11/5/2021, 10:19:01 AM

一筋の光
あたりから聞こえる沢山の怒号や銃声音。まるで地獄のようだ
必死に食らいつき敵をなぎ倒しながら前へ進む、無我夢中に足を動かしているとなにかに躓いた、「ひっ」躓いたモノを見ると昨日一緒に生きて故郷へ帰ろうと誓った仲間だった。
呼吸が乱れ前が霞む、いけないこんな事で歩みを止めては、早く立ち上がれ早く、そう思っても己の足は思うように動かない、
「Мертвый япон!」
前を向くと敵がこちらに銃口を向けていた。
ぁあ死ぬのか、ここでこいつと同じように。死を悟り目を瞑ると銃声が鳴り目の前で倒れる音が聞こえた。ハッとして目を開くと「立て!!○○!こげん所でわいん命を終わらすっな!!!!」少尉殿がそう叫び手を差し伸べていた。強く返事をし手を取り立ち上がる。
嗚呼この方はまるで地獄のような戦場に差し込む一筋の光だ。その光を途切れさせぬよう私はこの方の肉壁となりこの命を捧げてみせる。

k

11/4/2021, 2:36:07 PM

哀愁をそそる
友人から渡された彼の小さな遺品。
これだけしか…小さな声で友人は申し訳なさそうな、今にも泣き出しそうな顔で言った。
私は平気だ、なんて嘘をついた。本当は悲しくてたまらない、彼が死んだなんて信じられない。手の中にすっぽり収まってしまう彼の髪の毛の束をそっと握った。
いつか一緒に南の島で王国を作ろうと豪語していたあの人が、綺麗な黒い長い髪の毛を靡かせていたあの人が、私よりもとても大きかったあの人が、こんな呆気なく死んでしまって、こんなにも小さくなってしまったなんて信じられない。でも手に力を入れ髪の束を握る度に彼は死んだという事実を受け入れざる得なくて、私は膝から崩れ落ち大きな粒の涙を流した。

b

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