この道の先について
鍵を開け
横にずらす。
この先には道は無い…。
でも…見方を変えれば
道無き道と言っても違いはないのかもしれない。
今から踏み出す1歩は
僕の今までの人生で一番
恐怖という思い足枷をつけた1歩だ。
でも…もし踏み出すことが出来たのなら…。
僕はきっと報われる。
楽になれるのだろう。
少し空を見上げると
雲が無い真っ青な快晴が見えた。
ふと…僕の黒い瞳がこの青い快晴を
見つめる事によって少し青くなるのだろうか…。
と1歩を踏み出す前にそんな馬鹿なことを考えた。
「少年!」
聞こえてきた声に驚き
僕は聞こえてきたあらぬ方向を向いた。
「翼が無いのに翔ぶなんて無謀だぞ!」
そこには紛れもない白い翼を持った
天使が窓の縁に立つ僕を見下げていた。
日差し
死にたい夏だった。
蝉時雨が煩く止まない日。
僕は久しぶりに外に出た。
太陽が眩しく目の前を見つめるだけで
日差しが目に滲みて涙が出る程だった。
信号待ちをしていると…
飛行機のエンジン音が聞こえてきた。
僕は一目見たくて上を見上げた。
だけど…眩しすぎて…何も見えなかった。
日差しが…太陽が…眩しすぎて…。
目を合わせたら目が焼けちゃいそうで…。
涙が出てきて…目を閉じるから眩しいはずなのに…
暗くになっちゃって…。
何も見えなかった。
ふと…眩しい君みたいだなって思ったよ。
ここではないどこか
俺は知っている。
お前はここではないどこかにいると…。
ある日の事だった。
お前のお袋さんから電話が急にかかってきて
お前が「車に轢かれて死んだ」って言うんだ。
おかしな話だろ。
でもこれで終わりではないんだ。
お前の葬式までとり行われたんだ。
笑える話だろ…。
みんな泣いていたんだ。
凝った芝居だよな。
俺も不審に思われたら嫌だから精一杯泣いたよ。
そしたらお前のお袋さんが俺に気づいて
隣に来て「ありがとね」って言いながら
俺の背中を擦るんだ。
少し申し訳なく思ったよ。
お前の葬式なんて信じてないのにね…。
だって棺桶にお前は居なかったじゃないか!
俺は騙されないぞ。
数日経って俺は分かった。
お前はここではないどこか
遠くに行ってしまったんだね。
それじゃ電話も通じないし
ラインも帰ってこない訳だ。
早く帰って来いよ!
お袋さんはきっと喜ぶし
お前がいなくなってから
俺は世界が荒く見えるんだ…。
もういっそ俺から探しに行こうかな…。
窓越しに見えるのは
窓腰から覗く世界。
今日の夜空は曇って星は見えない。
でも目の前に見える
山に建つ一つ一つの家の光が
星の様に闇の中暖かく煌めき照らしている。
その煌めく一つ一つの世界の
誰かは誰の為に煌めくのだろうか。
赤い糸
ふたりの手首に赤い縄を結びましょう
ふたりの首に赤い縄を占めましょう
ふたりの手をかたく繋ぎましょう
これから飛び込む私達ふたりは
赤い糸などあやふやな物に繋がれなくても
病める時も健やかなる時も
誓い合い添い遂げられる
入道雲
夏の空に突如として現れる巨大な雲
入道雲は火山から出来た島のようだ。
雲の形は火山で出来た様にゴツゴツしていて火山島
気まぐれに浮遊して風に吹かれてやって来る
空は島でも旅人でも船でもなる雲を運ぶ
広大で計り知れない海のようだ。
その島には誰がいる
巨人か?もしくは小人か?それまた羊か?
その旅人は何を見てきた
青々とした自然か?自分を移す海か?
それとも蟻のような人間か?
その船は何を運んだ?
渡り鳥か?神か?それとも恵みの雨を運ぶか?
分からぬ、だが雲は私に
浪漫を与えてくれた。