日差し
死にたい夏だった。
蝉時雨が煩く止まない日。
僕は久しぶりに外に出た。
太陽が眩しく目の前を見つめるだけで
日差しが目に滲みて涙が出る程だった。
信号待ちをしていると…
飛行機のエンジン音が聞こえてきた。
僕は一目見たくて上を見上げた。
だけど…眩しすぎて…何も見えなかった。
日差しが…太陽が…眩しすぎて…。
目を合わせたら目が焼けちゃいそうで…。
涙が出てきて…目を閉じるから眩しいはずなのに…
暗くになっちゃって…。
何も見えなかった。
ふと…眩しい君みたいだなって思ったよ。
ここではないどこか
俺は知っている。
お前はここではないどこかにいると…。
ある日の事だった。
お前のお袋さんから電話が急にかかってきて
お前が「車に轢かれて死んだ」って言うんだ。
おかしな話だろ。
でもこれで終わりではないんだ。
お前の葬式までとり行われたんだ。
笑える話だろ…。
みんな泣いていたんだ。
凝った芝居だよな。
俺も不審に思われたら嫌だから精一杯泣いたよ。
そしたらお前のお袋さんが俺に気づいて
隣に来て「ありがとね」って言いながら
俺の背中を擦るんだ。
少し申し訳なく思ったよ。
お前の葬式なんて信じてないのにね…。
だって棺桶にお前は居なかったじゃないか!
俺は騙されないぞ。
数日経って俺は分かった。
お前はここではないどこか
遠くに行ってしまったんだね。
それじゃ電話も通じないし
ラインも帰ってこない訳だ。
早く帰って来いよ!
お袋さんはきっと喜ぶし
お前がいなくなってから
俺は世界が荒く見えるんだ…。
もういっそ俺から探しに行こうかな…。
7/2/2023, 10:26:45 AM