虹の架け橋
虹か、 どれも、どこで見ても綺麗だよね。
山頂で見る虹は、雨や霧がパーっと晴れた後、目の前に大きく、鮮やかに、そして360度遮るものがないので、遠くの山と山に、まるで橋が、架け橋が架かっているかの様に、ダイナミックに出てくる。
釣りの虹は、幻想的だ。僕は山岳渓流なので、よく名もない滝に遭遇する。見る角度によってだが、いつまでも消えないのだ。滝から流れ落ちる水飛沫が、霧となって、幻想的になる。川のせせらぎ、木の間から流れる風の音。鳥のさえずりがその場所に音を集め、霧の効果があれば、まるで神の舞い降りる舞台だ。
でも、1番は、息子とみた虹だろう。
息子が小さい頃、車でドライブに行った時だっただろうか?
田園風景の中に突然、虹が現れた。
虹は、僕も見たことのないくらい、7色?、とにかく鮮やかに見えた。
運転を止めて、しばらく家族で眺めていたら、息子が数え始めた。
「1.2.3.4.5.6」
「赤、青?オレンジ、うーん」
「ねぇ、虹は何色があるの?」
馬鹿な僕は即答出来ない。でも7色なのは知っている。
「7色あるはずだよ」
息子は一生懸命に色を数えていた。虹が消えるまで。
僕はそんな、目を丸くしていた、キラキラさせていた息子が大好きだ。
その息子は、いま離れて暮らしている。
ずーと会っていなく、連絡も時々だ。
話しても、あまり会話が出来ず、終わってしまう。
もちろん、ラインも、 そっけない。
どうか、この虹が息子の所まで届いてくれますように。
息子は覚えているかな?
どこかで、この虹を見ていたらいいな
そうしたら、もう少し息子と会う、話せる、きっかけが、できるのに。
そう、 僕と息子の、架け橋になってくれそうだから。
仕事中、田園の中に虹が架かっているのが見えた。
息子と、家族と見たあの光景を思い出しながら。
既読がつかないメッセージ
「愛してる」
君に何万回言っただろう。
人目を気にして、真夜中に行く公衆電話、積み上げた10円玉、
1畳もない電話BOXで僕は、悲壮感で、心が打ちひしがれた。
先週まで、いい感じだった。
会える日は少ない、お互い違う学生、高校生と大学生。そして、実家と下宿。田舎から続く2年の恋が終わろうとしていた。
理由は、お互いにある。互いに近くを求めたのかもしれない。君を求める僕、愛を求めた君。
話は最後のクライマックスだろう。僕はまだ、いや、たぶん「愛してる」のか?君は、「愛してくれている」のか?
強い雨音が部屋を打ちつけ、悪い所が聞こえない。いいんだ、うやむやで、このまま、何日か後、「今度、いつ会おうか」とか、また話せるのかも。
悲壮感から、何ヶ月たっても、電話はこない。電話も出来そうにない。手紙も何通か送った。それなりの文章で、必ず「愛してる」をつけて。
でも、返事もなく。ただ、時間だけが過ぎていく。
うやむやの使い分けを僕は間違っていた。
君に対しても、僕に対しても、うやむやにしてはいけなかった。
「既読がつかないメッセージ」
今の時代なら、こう表せるのかな?
昔の若かりし記憶を、ふっ、とのぞいてみた
雨の日の夜の出来事だった。
うやむやから半年、僕から、君の思い出を送った。
君からも思い出の返事が届いた。
僕は、ある夜、下宿の庭先で思い出を焼いていた。自分に流す資格は無いかもしれないが、泣いていたらしい。
隣に座って、黙って一緒にいてくれた、親友が、そこにいた。
「もう、すっかり秋だなぁ」
秋は、紅葉シーズン
山々は、色鮮やかな紅葉色になり、澄んだ青空が、より紅葉を美しくさせる。そして、もう一つの楽しみが釣りだ。できれば山岳渓流が良いだろう。紅葉と青い空、そして清流のコントラストがなんと見事なことか。その素晴らしい風景の中で、釣りをしている自分は、なんて贅沢なのだろう。
この時期は、春から育ったお魚が大きくなり、釣りごたえがある。僕は、自分の食べる分だけは、釣り上げて持ち帰り、後はリリースで遊ぶ。ニジマス、ヤマベ、イワナ等々、ルイベでも良し、揚げてもよし、焼いても良し、日本酒にも良し。まさに秋ありがとうだ。
心に染みて、胃に染みて、そうしたら後は身に染みなきゃ。
温泉だ。
釣り終わりには、必ず温泉に立ち寄る。
地球の底から湧き上がる露天風呂だ。
檜風呂なら、なお良い。岩も好きだ。樹々がなびく音と川のせせらぎ、そして温泉の湧き出る音が、自然のオーケストラとなり、僕の心に響かせる。そして檜の香り、じわっと温まる泉質。もはや、僕の五感全てがリラックスして、温泉で休眠してしまいそうだ。
「また、明日から仕事だなぁ」
と、思いながら でも、今だけは忘れよう
「あっ、帰ったらまず、魚、捌かなきゃ」
紅葉が遠ざかり、いつもの日常に戻っていく。時々だから良いのだろう。季節と同じで、紅葉も、休みの楽しみも、時々だからこれだけ感動するのだろう。
「もう、すっかり秋だなぁ」
昨年の秋色を思い出していた、今日、この頃の僕だった。
もしも、世界が終わるなら
最後まで、君のそばに寄り添おう
もしも、世界が終わるなら
最後まで、kissして、抱き合っていよう
僕は、1人ではいたくない
君の笑顔が、僕の全て
新たな世界が創造されても
君がいないなら、僕は生きるのを望まない
この世界で、やっと出会えた大切な君を
僕はもう、離したくない
僕は、また、新たな世界でも
君と怒ったり、悲しんだり、苦しんだり、笑ったり
感動したり、失望したり、悩んだりするだろう
「それでもいいかい?」
神に祈りを捧げます
どうか、永遠に、君のそばに寄り添える様に
そして、いつも君が、笑顔で僕に微笑むように
もしも世界が終わるなら
最後まで、君のそばに寄り添おう
そして、2人で語り合おう
僕らの愛の物語を
くつひも
僕らは、いつも君を応援している。
ある時は、君の初めての「たっち」に貢献し、
ある時は、運動会で、君と共に走ったね。
僕らは、いつも自分を誇りに思う
ある時は、君の初めての面接に付き合って、
ある時は、日本代表の試合にも出させてもらった
僕らは普通のくつひもだ。
仕事は、君を守ること。
雨の日も、風の日も、雪の日だって、守るんだ。
だから、お願いがあるんだ。
どうか一緒に泣かせておくれ
どうか一緒に笑わせておくれ
そして、どうか、一緒に、僕らと歩んでおくれ
汚れて、ボロボロになって、僕が年を取るまで
君の姿をこの体で、感じていたいんだ。
くつひも
僕らは、いつも、君と人生を歩んできた
でも、もう終わりみたいだ。
今度は、息子と、新たな人生を楽しんでおくれ
君と、共に結ばれた事に ありがとう