「答えは、まだ、ない」
人間50年。よく言ったものだ
僕の人生は、至って単純だ。同じ仕事で、人生を費やした。
良いも悪いも、長続きしている。
変革を求めない人間?勇気のない人間?やる気のない人間?
わかっている。自分ではずーと昔からわかっている。
変えなきゃ、変わらなきゃ、と、同じ日々の暮らしの中で、模索している自分がいる。
運命の分岐点って奴も、何回かあったんだ。
その度に、結局は、 ここに辿り着いた。
変える勇気が欲しい 動ける自信が欲しい
頑張れる心が欲しい そして、その時間が、今は欲しい。
もう遅いよね、考えるには
もう少ないね、残りの時間
綺麗な言葉で、表すことも出来ない
素敵な表現で、例える事も出来ない
でも、変えたいんだ、自分を
「だめかな?」
話を聞いて欲しい、背中を押して欲しい
「そして、そんなあなたが欲しい」
人間50年。よく言ったものだ
僕は弱く、情けない人間だ。だから
「答えは、まだ、出ないんだ」
ジャーニー 旅は良いものだ
たった一人のクリスマス
前日に、彼女に振られた。
予定も立て、プレゼントも用意して、あとは、待ち合わせの時間を決めるだけだった。
予報通りのホワイトクリスマスも、人生初めての彼女とのこの日を、祝福してくれる予定だった。
「旅に出かけよう」
僕が思う旅の理由は、いつもこれだ。ネガティブらしい。
バイクというのは、自分を見つめられ、心の隙間を自然のピースで埋められる、風と一体となり、自然に体を抱かれ、いつしか自分は、透き通った青空を羽ばたく鳥の様に、自由に、気ままに、どこまでも飛ぶことが出来る。そんな乗り物だ。
昨年まで、この後部座席が、彼女の専用シート
彼女の温もりも、彼女の吐息も、彼女の笑い声も感じない。
でも、たった1人の自分は感じられる、見つめられる、そして、出会いを求めている。そんな自分がいる。
ジャーニー 旅は良いものだ
次はどこへ行こうか、風の吹くまま、気の向くまま
これからの、新しい自分をさがして、
僕は大空を飛んでいる
センチメンタル ジャーニー
君と見上げる月
まるで、誰かが時を止めているかの様に、2人だけで過ごしたね
君と見上げる月
まるで、これから別れるかの様に、君は悲しい顔をしていたね。
誰もいない無人の駅。虫の声と、海風が心地よい。
バイクの後ろに君を乗せて、家に帰る途中だった。
お祭りの華やかな灯りが、どんどん遠ざかり、心地よい風と、君の体の温もりを感じながら、1台も通らない、田舎の道を走らせる。
「家に帰りたくない」
君が言った?僕が思っただけ?
かなり遠回りの海岸沿い、海には月明かりが照らされて、バイクのスロットルも自然と緩んでいた。
月明かりが、列車のレールを照らしている。
無人の駅へと誘う様に、まっすぐに、まっすぐに。
2人だけの1番ホーム、2人だけの待合時間。
僕らは列車にも乗らないのに、ホームに座り、月を眺めていた。
「家に帰りたくない」
明日になれば、お互い違う列車に、違う人生に向かわなければならない。
遠距離恋愛って、辛いよね。苦しいよね。でも今だけは考えたくない。
君と見上げる月
まるで、誰かが時を止めているかの様に、2人だけで過ごしたね
まるで、これから別れるかの様に、君は悲しい顔をしていたね。
泣かないで、
いつまでも、これからも、10年後も、100年後も
どれだけ離れようと、君と一緒に見上げるよ
今日の夜空を、一緒に心に描こう
目を瞑れば、君の横には、必ず僕がいるからさ
空白とは、素晴らしいものである。
僕は、中学生の時に、いじめられていたことがある。あるグループから、 ハエ と言われ続けた。理由は、クラスの人気グループ達の周りで、まとわりつくハエみたいだから。
高校では、サッカー部だったのだが生徒会に入り、調子に乗ってると勘違いされ、 足を折るぞ と、学校帰りによく言われ、サッカー部を辞めた。
空白とは、素晴らしいものである。
心を空白にすれば良いのだ。
心が楽になる。何も考えなければいいんだ!
「いや、違うだろ」
一人で山に登り、僕は心を空白にする
1歩歩くのに辛く、1歩登るのに疲れる。そして、その1歩で少しずつ、嫌な心の色を消していく。
休憩の景色やお菓子で、心を洗って、真っ白なキャンバスを作っていく。
そして、頂上の景色を、空白の心のキャンバスに描く。
感動や、達成感、山友との出会いや知らない人との縁。
全てが、幸福色として、心に、空白に描かれる。
だから、山が好きなのだ。
だから僕は思う。
空白とは、素晴らしいものである。
だって、好きに、自由に、描けるのだから。
「僕は、台風が過ぎ去って、どことなく、空を見上げた」
天候に休日が左右される僕の仕事。
久々の休日に胸がときめいて、3日前からソワソワと部屋をうろつく。必要な道具は、愛車に全て乗っているのだが、本当に休めるのか?遊びに行けるのか、居ても立っても居られない。
何度も天気をスマホで確認し、晴れそうな方向を確かめていた。
台風は、僕にとって良いのか?悪いのか?
雨が降れば、予定通り休みだ。しかし、外遊びが出来なくなる。
部屋にあるたくさんの本と友達になっても良いのだが、久々に日光の下でもやしの様な体に栄養を与えたい。
当日、やはり台風さんがいらっしゃった。
休みは確定だ。中での遊びも確定だ。
いつものように、たまったアニメを見て、読んでない本を手に取る。
「ダメだ」
こうなったら集中できない。スマホ片手に、いつ過ぎるのか、またソワソワだ。もはや仕事と変わらない動きだ。
少し遠いが、台風さんが訪れない地域へ行こう!と、愛車に気合を入れ、僕は尾崎豊の「遠い空」を聞きながら、明るい方へ土砂降りの中、走り出した。
何回、リピートして、「遠い空」を聞いたのか、晴れ間が見え始め、今度は周囲の川を探索し始めた。
どこも濁っていて、釣りどころではない。
時間を忘れ、濁っていない川を探し、彷徨い続けた僕は、夕方近く、綺麗な川と出会った。
清らかな清流に、水位が上がったため、お魚さん達が活発に遊んでいる。「遠い空」には虹がかかっていた。
「僕は、台風が過ぎ去って、どことなく、空を見上げていた」
「さあ、帰るか」
どんな休日だったのか、困ったものだ。でも、この空と一緒で、僕の心も晴れていた。
人生とは、こんなものなのか?と夕方の黄昏時を、僕は、愛車に乗りながら、感じていた。
遅くに家に着いたら、台風がまだ、家にいた。
「おっそ!」
僕の人生は、こんなものなのだと、コンビニスイーツで機嫌を取る、僕がいた。