ひろ

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「僕は、台風が過ぎ去って、どことなく、空を見上げた」

天候に休日が左右される僕の仕事。

久々の休日に胸がときめいて、3日前からソワソワと部屋をうろつく。必要な道具は、愛車に全て乗っているのだが、本当に休めるのか?遊びに行けるのか、居ても立っても居られない。
何度も天気をスマホで確認し、晴れそうな方向を確かめていた。

台風は、僕にとって良いのか?悪いのか?

雨が降れば、予定通り休みだ。しかし、外遊びが出来なくなる。
部屋にあるたくさんの本と友達になっても良いのだが、久々に日光の下でもやしの様な体に栄養を与えたい。

当日、やはり台風さんがいらっしゃった。
休みは確定だ。中での遊びも確定だ。
いつものように、たまったアニメを見て、読んでない本を手に取る。
「ダメだ」
こうなったら集中できない。スマホ片手に、いつ過ぎるのか、またソワソワだ。もはや仕事と変わらない動きだ。
少し遠いが、台風さんが訪れない地域へ行こう!と、愛車に気合を入れ、僕は尾崎豊の「遠い空」を聞きながら、明るい方へ土砂降りの中、走り出した。

何回、リピートして、「遠い空」を聞いたのか、晴れ間が見え始め、今度は周囲の川を探索し始めた。

どこも濁っていて、釣りどころではない。
時間を忘れ、濁っていない川を探し、彷徨い続けた僕は、夕方近く、綺麗な川と出会った。

清らかな清流に、水位が上がったため、お魚さん達が活発に遊んでいる。「遠い空」には虹がかかっていた。

「僕は、台風が過ぎ去って、どことなく、空を見上げていた」

「さあ、帰るか」

どんな休日だったのか、困ったものだ。でも、この空と一緒で、僕の心も晴れていた。

人生とは、こんなものなのか?と夕方の黄昏時を、僕は、愛車に乗りながら、感じていた。



遅くに家に着いたら、台風がまだ、家にいた。
「おっそ!」

僕の人生は、こんなものなのだと、コンビニスイーツで機嫌を取る、僕がいた。

9/12/2025, 11:16:11 AM