ひろ

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君と見上げる月

まるで、誰かが時を止めているかの様に、2人だけで過ごしたね

君と見上げる月

まるで、これから別れるかの様に、君は悲しい顔をしていたね。

誰もいない無人の駅。虫の声と、海風が心地よい。

バイクの後ろに君を乗せて、家に帰る途中だった。

お祭りの華やかな灯りが、どんどん遠ざかり、心地よい風と、君の体の温もりを感じながら、1台も通らない、田舎の道を走らせる。

「家に帰りたくない」

君が言った?僕が思っただけ?

かなり遠回りの海岸沿い、海には月明かりが照らされて、バイクのスロットルも自然と緩んでいた。

月明かりが、列車のレールを照らしている。
無人の駅へと誘う様に、まっすぐに、まっすぐに。

2人だけの1番ホーム、2人だけの待合時間。

僕らは列車にも乗らないのに、ホームに座り、月を眺めていた。

「家に帰りたくない」

明日になれば、お互い違う列車に、違う人生に向かわなければならない。

遠距離恋愛って、辛いよね。苦しいよね。でも今だけは考えたくない。

君と見上げる月

まるで、誰かが時を止めているかの様に、2人だけで過ごしたね

まるで、これから別れるかの様に、君は悲しい顔をしていたね。

泣かないで、

いつまでも、これからも、10年後も、100年後も

どれだけ離れようと、君と一緒に見上げるよ

今日の夜空を、一緒に心に描こう

目を瞑れば、君の横には、必ず僕がいるからさ



9/14/2025, 10:58:13 AM